東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

イベント Event

March 24, 2017

情報社会基盤卓越講義シリーズ 第10回 のお知らせ

国境を越えて進むデータの寡占化、ソフトウェア化による通信基盤の輸出、特定の国家による価値の保証を持たない仮想通貨など、情報社会基盤技術における地球規模の覇権争いが進む中、東京大学大学院・情報学環では、文理越境の観点から、情報社会基盤技術の最新動向の把握が必要であると考え、2017年2月から「情報社会基盤卓越講義シリーズ」を開講します。
受講対象者は一般とします。

In the light of the progress of planetary-scale technological competition for dominance in information society infrastructure, such as data acquisition and analysis beyond national borders, export of communication infrastructure through network softwarization, virtual currency without guarantee of value by a specific state, etc., we believe that it is essential to carefully study the latest trends in information society infrastructure technologies from interdisciplinary view points and have started “Distinguished Lecture Series on Information Society Infrastructures” in February 2017.
This lecture series is open to public not only students and faculty members at UTokyo.

第10回 情報社会基盤卓越講義 を以下のように開催します。

【講義タイトル】 オープンソースソフトウェアの開発とスマートフォン新興OSの可能性

【講師】野田哲夫 (島根大学 教授)

【分野】オープンソース

【日時】2017年3月24日 16:00-17:00

【場所】工学部2号館9階 93B
http://www.kikaib.t.u-tokyo.ac.jp/map2/

【共催】社会情報学会(SSI)

【参加】無料
(受講者は本学所属の学生・教職員に限らず一般も対象としますが、以下から登録をお願いします。)
https://goo.gl/WopjWv

【講義概要】
IT企業においてオープンソースソフトウェア(以下、OSS)の活用は一般的になっており、コスト削減のためにのみOSSを活用することは競争優位を得る要因ではなくなっている。OSSを活用したITソリューション市場で優位性を獲得するためには、OSS自体への知識、開発力を高める必要があり、そのためにOSSの開発プロセス自体に関与すること、すなわち開発プロセスの過程へ貢献することは避けられない。しかしながら、日本の多くのIT企業にとって主要OSSは,未だに活用対象であり,これに対してOSSへの開発貢献は依然として低く,日本のIT企業がOSSのフリーライダーとなっている。

一方、世界規模の携帯電話市場に占めるスマートフォンの割合はすでに70%を超え、携帯電話を生産する各メーカーはスマートフォン市場を狙いその競争が激しくなっているが、スマートフォンのOS(Operating System)の市場シェアを見るとAndroidとiOSがそれぞれの有効なビジネス戦略=プラットフォーム戦略によって世界市場の9割を占めているが、それぞれのOSともオープンソースとそのライセンスを基盤にして開発されたものである。さらに、今後低価格のスマートフォンが新興国での普及の可能性があることから、AndroidとiOS同様にオープンスースを基盤に開発された新興OSであるFirefox OSとTizen OSに着目し、今後のスマートフォン市場参入の経過と市場シェア獲得における課題について検討する。

【講師略歴】
一橋大学大学院経済学研究科を修了。島根大学で情報技術が経済に与える影響を教育・研究している。特に情報産業におけるオープンソース開発スタイルと生産性の関係、およびビジネスとコミュニティの関係についての論文を発表・国内外での学会報告を行っている。また島根大学で進めているOSSの安定化・高度化の共同研究のリーダーを務めている。

【担当教員】 中尾彰宏 nakao@nakao-lab.org