東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

イベント Event

September 17, 2023

国際シンポジウム 「レイシズムを記憶する意義 ―関東大震災虐殺ミュージアムを設立するために―」The importance of remembering racism-Establishment of the Museum of the Great Kanto Earthquake Massacre

《主 催》
1923関東朝鮮人大虐殺を記憶する行動
運営:一般社団法人東アジアピースアクション

 

《共 催》
カルチュラルスタディーズ学会研究企画委員会
田中東子研究室
ふぇみ・ゼミ&カフェ

 

《日時》

2023年9月17日(日)13時スタート
(会場受付開始12時。終了予定18時)

 

《場所》

東京大学大学院 情報学環・福武ホール
B2F(福武ラーニングシアター)

《申込み》

こちらのウェブサイトよりチケットをお申し込みください:https://1923museum.peatix.com/

◆お申込み締切り◆
・第一締め切り:9月17日 12:30まで
(開始30分前➡リアルタイムの視聴可能)
・第二締め切り:9月18日 12:30まで
(イベント翌日➡「後から配信」の視聴)

 

《概 要》

2023年は関東大震災から100年である。日本の近代化にとって分岐点ともいえる災害だったことは、あまりにも有名だ。同時に東アジアの人々には、日本帝国主義がもたらしたレイシズムが思想や観念に留まらず、「生命の危機」、虐殺の記憶である。近年、日本では、関東大震災による朝鮮人、中国人に対する虐殺の事実さえ否定し、記憶の継承を阻む言説が広がっている。

その背景に、虐殺の事実を「現代的な知での解釈」を知る手段としてのミュージアムが乏しいからではないだろうか。

本シンポジウムでは、未来にどう記憶を継承するのかについて、関東大震災による朝鮮人虐殺を記憶する博物館を立ち上げた韓国:金鐘洙(キム・ジョンス)さん、日本の加害の歴史の博物館・岡まさはる記念長崎平和資料館の国武雅子さんから取り組みについてお話を伺う。さらに、ミュージアム研究の光岡寿郎さんに「植民地支配を支えるミュージアムが記憶を開く可能性」などを中心にお話いただき、最後に、日本で関東大震災の虐殺を記憶する博物館を設立させるためにはどのような課題があるのかについて考える。

 

《プログラム》

3人の講師によるテーマ別講演。そして、アーティストたちによる公演を予定しています。

〈講演テーマ①〉
「新たな100年を準備する関東虐殺歴史館」
講師:金鐘洙(キム・ジョンス)

1923年の虐殺に対する記憶を正しく継承するために時代的な責務を担って生きてきた記録者や研究者、文学文化人たちと追悼する人たちの努力があったので新たな100年の課題を問うことができる。

新たな100年、この痛ましい歴史を誰が記憶することを望むのか、どのように記憶されることを望むのか、できるならば生活の中でどんな小さな変化でも起こる事を望んでいるのかと思うようになる。

その期待を持ち各分野の専門家によって様々なコンテンツに再解釈され、大衆に近づき記憶が記録され新たに継承されることを期待する時だ。韓国忠清南道天安の山の中腹に建てられた「記憶と平和のための1923歴史館」は、100年前の事件の意味と、記憶を継承してきた人々と新たに記録を表現する人々の参加で新たな100年を迎えようとする。

〈講演テーマ②〉
「岡まさはる記念長崎平和資料館のめざすもの」
講師:国武雅子(くにたけ・まさこ)

岡まさはる記念長崎平和資料館は、1995年、日本の侵略と戦争における加害責任を追及する資料館として設立された。「被害者の痛みを心に刻み 戦後補償の実現と非戦の誓いを」との理念のもとに、市民の手によって運営している。これまでの歩みを振り返り、現代の社会において果たすべき役割を考えたい。

〈講演テーマ③〉
「ミュージアムから開かれうる記憶」
講師:光岡寿郎(みつおか・としろう)

本講演では、記憶を伝承していく実践の水準からは一歩距離をとって、記憶を留め、伝えていく公的機関として理解されてきたミュージアムを、英米圏のミュージアム研究(museum studies)の視点から再考します。自身、植民地支配を支える制度の一つでもあったミュージアムが、その空間を通じて記憶を開く可能性を探ります。