東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

イベント Event

January 24, 2021

記録や資料を⽤いた作品制作のためのリサーチ/川田淳 ワークショップ「在日クルド人との交流を通して」Research for creating works with records and materials / Workshop by Jun Kawada " Through interaction with Kurds in Japan "


「記録や資料を⽤いた作品制作のためのリサーチ」プロジェクトは、ドキュメンタリーやノンフィクションと呼ばれるもの、⼀定の事項における経験の当事者へのインタビューの形式をとるもの、歴史的な記録や資料を使⽤するものなど、製作者がリサーチを実施するの中で、記録や資料を⽤いることを前提として制作される作品の過程(プロセス)に着目します。これらの作品の多くはリサーチにおいて、社会的事象・実践・活動と関わることも多く、その制作過程(プロセス)そのものも、また社会的事象・実践・活動と言えるかもしれません。制作者は時として歴史認識や法、倫理に関する課題を抱えながら、どのように思考しているのか。作家によるワークショップなどを実施し、制作過程の情報を共有することで、文化・芸術におけるキュレーションやマネジメント、ファシリテーションの方法や、社会実践・活動、生活の参考にすることを目的としています。

この度、社会的事象を題材として人々と関わり、リサーチを重ねる中で制作を行ってきた映像作家の川田淳による3回の連続ワークショップを開催いたします。
川田は、自身の暮らす地域で毎日見かけるクルド人について興味を抱き、その多くが難民申請者で厳しい生活を送っていることを知ってから、支援などを通してクルド人の方々と関わっています。しかし、現在2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて「世界一安全な国,日本」を創り上げることを目指すとして、警察庁・法務省・厚生労働省の三省庁は、不法残留者を始めとする不法就労等外国人への対策を推進強化しています。ここで示されている外国人は、難民申請者も対象とされており、あくまで非正規移民です。日本においての難民認定者数や難民認定率は極めて低く、出入国在留管理庁(旧 入国管理局)が実施する、退去強制、長期収容などの処置については、国連をはじめとする国際社会からも批判対象となっており、収容施設では被収容者のハンガー・ストライキが行われる事態をも招いています。在日クルド人については、この例外ではないことにとどまらず、最近では収容所での暴力に晒されているとの報道もあるほどです。
地域に暮らす一人として、川田が難民当事者である在日クルド人の方や、地域で支援活動を行っている個人の方をゲストに招いて、その境遇や生活、活動について伺います。

川田淳 ワークショップ「在日クルド人との交流を通して」

会場:Online/Zoom (お申し込みいただいた方にURLをお送りします。)
申込:https://forms.gle/sBRocw5zrDNwkEjh7 (Googleフォーム)
定員:応募多数の場合は締め切る場合があります。ご了承ください。
言語:日本語
参加費:無料
※ 本ワークショップは 1回のみの参加でも可能です。
※ ワークショップの録画・録音、写真や動画撮影、スクリーンショット等は一切禁止とさせていただきます。

【第1回】
日時:2021年1月24日(日)14:00-15:30
ゲスト:在日クルド人男性、地域支援ボランティアの方
【第2回】
日時:2021年1月27日(水)14:00-15:30
ゲスト:ヌライ・トゥンチュさん(在日クルド人女性)、地域支援ボランティアの方
【第3回】
日時:2021年1月27日(水)16:00-17:30
ゲスト:天野かほるさん(地域支援ボランティア)、細田三枝子さん(地域支援ボランティア)

〈川田淳〉
1983年埼玉県生まれ。2007年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。沖縄で戦没者の遺骨を掘り続ける男性の手伝いをし、遺留品の遺族を探し求める作品『終わらない過去』(2015)や、中国と沖縄で戦争体験をした元日本兵の証言を記録した作品『生き残る』(2017)等を制作。『石山さん』(ハンセン病資料館、2019年)、『美しければ美しいほど』(原爆の図丸木美術館、2017年)等の様々な展覧会で作品を発表。

問い合わせ:barbaradarling@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
BARBARA DARLINg(「記録や資料を⽤いた作品制作のためのリサーチ」ディレクター)

主催:東京大学 ⽂化芸術におけるSDGs のためのファシリテーター育成事業(令和2年度 文化庁 大学における文化推進事業)

 

*「⽂化芸術におけるSDGs のためのファシリテーター育成事業)」について
本事業は、国連サミットによって国際社会共通の⽬標として掲げられた「SDGs: Sustainable Development Goals(持続可能な開発⽬標)」を踏まえ、社会のサステナビリティ(持続可能な社会)をどのように構築するか、資本主義とどう付き合うかといった重要かつ喫緊の課題を、
【1】格差なき包摂型社会の達成(反貧困・飢餓、反差別、福祉)
【2】真の意味での「潜在能⼒(capability: アマルティア・セン)」の平等化(教育・ジェンダー平等・健全な経済成⻑、働き⽅、イノベーション)
【3】環境・気候変動と社会の関係の再構築(⽔、エネルギー、クリーン、気候変動に応じた社会システムの設計等)
これら三つを軸として、芸術⽂化が果たしうる役割を考察し、「社会成⻑」に寄与するファシリテーターの育成のためのプログラムの開発および実践を試みています。
Arts and Culture in a Sustainable Society(持続可能な社会における芸術⽂化)レクチャー、ラウンドテーブル、シンポジウム、② 首都圏のコミュニティースペースのファシリテーション、③ 記録や資料を使用した表現のためのリサーチ、④ a 災害と⽂化芸術 b 都市と環境問題、⑤ Language Exchange Picnic(多⾔語交流ピクニック)の、それぞれ独⽴した5 つの活動(プロジェクト)によって構成されています。

「文化庁 大学における文化芸術推進事業」について
多彩な芸術文化活動を支える高度な専門性を有したアートマネジメント(文化芸術経営)人材について実践的能力の向上等を含めた養成を推進するため,芸術系大学等による公演・展示等の企画・開催も含めた実践的なカリキュラムの開発・実施を支援し,開発されたカリキュラムを広く他大学等に周知・普及させることを目的としております。(文化庁ウェブページより)