東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

研究Research

August 18, 2023

【マイブック】『ジェンダーで学ぶメディア論』(林香里教授・田中東子教授)【My Book】Prof. HAYASHI, Kaori & Prof. TANAKA, Toko

「マイブック」は、学環学府の教員による著書を紹介するシリーズ記事です。著者からの一言とともに、新刊情報を中心にお届けします。新刊情報は学環学府ニューズレター『GAKKAN』の「BOOKS」コーナーでも紹介しています。(編集部)

 

『ジェンダーで学ぶメディア論』
林香里・田中東子編

#タグを利用した社会運動やマイノリティの声の広がりと同時に、SNSを介したフェイクニュースやヘイトスピーチの猛威など、デジタル化と多様化が進むメディア環境。本書は、メディア論の基礎を学ぶために、メディアと社会、メディアと文化の関係を「ジェンダー」という視点からとらえ返すことを提案する新しい入門書です。(田中東子教授)

出版年月:2023年3月
出版元:世界思想社

 

【目次】

序章 ジェンダーの視点からメディア論を学ぶ(田中東子)
1 なぜジェンダーの視点なのか?
2 「メディア」とは何か、「ジェンダー」とは何か
3 本書の構成

第Ⅰ部 メディアの思想とジェンダー

1 表現の自由
――なぜフェミニズムの議論は表現の自由と緊張関係を持つのか(小宮友根)
1 表現の自由とジェンダー
2 「わいせつ」表現と性差別表現
3 ステレオタイプな女性像――広告の場合
4 ヘイトスピーチ
5 何のための表現の自由か

2 メディアと公共性
――「公共性」未満を押し付けられてきた女性たち(林 香里)
1 「公共性」とは何か
2 民主主義思想から生まれる「公共性」概念
3 「公共性」概念におけるジェンダー、ダイバーシティ視点の欠如
4 「公共性」概念の限界、それでもなお残る希望

3 メディアと表象の権力
――日常を通じたジェンダーの生産(田中東子)
1 表象とは何か
2 なぜ表象が重要なのか
3 メディア表象とステレオタイプ
4 表象を通した女性の「モノ化」

第Ⅱ部 インターネット空間とジェンダー

4 SNSと政治
――デジタル時代の民主主義(李 美淑)
1 SNS時代の政治とメディア
2 SNSにおける多様な「声」の登場と拡散
3 デジタル時代の新たな政治――フェミニズム運動と対抗的公共圏
4 SNSは民主主義の敵か味方か――結束と分断のなかで
5 ジェンダーの視点から考えるSNSの空間

5 巨大IT産業
――テクノロジーに潜むジェンダー・バイアス(阿部 潔)
1 テクノロジーが映すジェンダー・イメージ
2 アルゴリズムによる「偏り」
3 IT産業によるジェンダー差別の再生産
4 デジタル・テクノロジーの可視化に向けて

6  消費文化とブランド化
――ジェンダーを再階層化するランク社会(田中東子)
1 SNSとランク社会
2 メディア技術と文化の変容
3 非物質的労働を通じた二重の搾取
4 評価され、監視され続ける社会

第Ⅲ部 マスメディア、ジャーナリズムとジェンダー

7 マスメディア
――新聞社・放送局の歴史に見るオトコ(会社)同士の絆(北出真紀恵)
1 マスメディア企業のジェンダー・ギャップ
2 戦争と競争――新聞社の産業的発展と全国紙の寡占化
3 テレビの登場と「メディア・イベント」
4 ネットワークと「系列化」による東京への集中
5 オトコ(会社)同士の“絆”――「全国紙・キー局」チームの独占的地位
6 オンナたちからの問いかけ

8 ニュースとは
――報道が描く女性像(四方由美)
1 ニュース価値とメディアの議題設定
2 ニュースにおける象徴的排除と偏見
3 インターネット社会におけるニュース
4 犯罪報道の現在――女性はどのように報道されるか
5 「報道被害」とネットミソジニー

9 メディアを使う
――オーディエンス論から考えるジェンダー・ステレオタイプの影響(有馬明恵)
1 メディア×ジェンダー×オーディエンスの問題点
2 社会・文化的装置としてのテレビ
3 ジェンダー・性役割意識を培養するテレビ
4 メディア利用の多様化と培養効果
5 なぜオーディエンスはステレオタイプな描写の影響を受けるのか
6 グローバルな課題としてのジェンダー・ステレオタイプ

第Ⅳ部 メディア文化とジェンダー

10 サブカルチャー論
――女性の抵抗文化とエンパワメントの循環(川端浩平)
1 メインカルチャー/サブカルチャーを分かつ境界線の力学
2 サブカルチャーとジェンダー秩序――自分の言葉で語ること
3 ポストフェミニズム的状況と抵抗文化の変容――引き継がれる抵抗のバトン
4 ポピュラーフェミニズムの循環と交差性
――ポップへの愛憎を「誠実」に問い返す
5 サブカルチャーとエンパワメントの循環
――かつての「不良少女(レディース総長)」の現在地

11  ファンカルチャー論
――韓流ブームにみる女性たちのエンパワメント(吉光正絵)
1 ジェンダーの視点からみるファンカルチャー
2 「冬ソナ」のロケ地めぐりからコピーダンスブームへ――第一次・第二次韓流ブーム
3 インスタ映え、K文学、ファン・アクティビズム――第三次・第四次韓流ブーム
4 女性ファンのエンパワメントと抵抗

12 セクシュアリティとメディア
――表象と性をめぐる規範(堀あきこ)
1 セクシュアリティとは
2 女性表象とセクシュアリティ
3 性の多様性
4 性的マイノリティの描かれ方
5 ジェンダーとセクシュアリティが複雑に絡んだBL

13 エスニシティとメディア
――ジェンダーとエスニシティが交わる「インターセクショナリティ」から考える(林 怡蕿)
1 エスニック・マイノリティの可視化
2 声を取り戻すためのメディア実践――台湾のエスニック・メディア
3 ステレオタイプ化されるエスニシティとジェンダーの表象
4 複数の抑圧とその解放に向けて――「インターセクショナリティ」という視点

終章 情報化社会とジェンダーの未来(林 香里)
1 メディア研究の行き詰まり
2 ジェンダー概念が切り開く新たなメディア研究の地平
3 21世紀のデジタル・テクノロジーがもたらす問題
4 メディア研究におけるジェンダー概念の重み

コラム1 「ここはこうやろ!」を変える(武田砂鉄)
コラム2 #KuToo以降のSNSとの闘い(石川優実)
コラム3 「女子アナ」がいなくなる日(小島慶子)
コラム4 メディア・コンテンツに見る性的マイノリティへの蔑視(松岡宗嗣)


主担当教員Associated Faculty Members

教授

田中 東子
  • 文化・人間情報学コース
  • 情報学環教育部

Professor

TANAKA, Toko
  • Cultural and human information studies course
  • Undergraduate research student program