東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

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December 8, 2022

「出征兵⼠の⾜どり ─新潟県⻑岡市から─」デジタルアーカイブ 公開のお知らせ

東京⼤学⼤学院情報学環 渡邉英徳研究室(プロジェクト代表:三上尚美 ⼤学院⽣)は、⻑岡戦災資料館・⻑岡市⽴中央図書館⽂書資料室の協⼒のもと、ストーリーテリング・コンテンツ「出征兵⼠の⾜どり ─新潟県⻑岡市から─」デジタルアーカイブを12⽉8⽇に公開しました。⻑岡市出⾝の出征兵⼠10名の⾜どりをデジタルマップ上で可視化するとともに、家族へのインタビュー記録を、ストーリーテリング形式で表現するものです。

「出征兵⼠の⾜どり ─新潟県⻑岡市から─」デジタルアーカイブ (画⾯イメージ)
https://www.trace.archiving.jp/

⻑岡戦災資料館におけるインタビューのようす
 

背景・コンセプト

地域において、空襲などの象徴的な戦争体験以外の「地域の戦争の記憶」はどのように継承できるだろうか。プロジェクト代表の三上尚美(東京⼤学 ⼤学院学際情報学府 修⼠2年)は、修⼠課程⼊学前からその「問い」に向き合ってきました。そのなかで、全国どの地域にでも存在し得る「出征兵⼠の記憶」が、そのきっかけとなりうるという着想を得て、本学において本デジタルアーカイブの制作を開始しました。

この「地域の戦争の記憶」継承の最初の実践フィールドとして、新潟県⻑岡市を選びました。戊⾠戦争と⻑岡空襲で2度の復興を経験した⻑岡市は、地元の歴史継承の⼟台がある地域です。さらに、姉妹都市のホノルル市との平和交流など、空襲被害に留まらない多⾓的な視点から歴史を捉え、「⻑岡から平和を届けよう」という想いが根ざす地域であることが理由です。

実践は、⻑岡市史双書No.27『証⾔−市⺠の戦場体験』(⻑岡市・1994年)を原典とした、出征兵⼠の⾜どりの可視化・アーカイブ化からスタートしました。COVID-19による⾏動制限が緩和された2022年度以降は、⻑岡市における出征の当事者・その家族を対象とした対⾯のインタビューを開始し、ストーリーテリングに組み込んでいます。

これまでデジタルアーカイブの制作には、デジタルスキルを持つ⼈材が必要でした。本研究では、地域の戦争の記憶の継承のモデルとなることを企図し、ノーコード(プログラミングなし)でデジタルアーカイブを制作可能なプラットフォーム・Arc GIS Onlineを利⽤しています。これにより、各地域において、誰もが地域の戦争の記憶の継承に携わることができます。

概要

● 公開⽇: 2022年12⽉8⽇

● URL:https://www.trace.archiving.jp/

● 主催: 東京⼤学⼤学院情報学環 渡邉英徳研究室
(プロジェクト代表:三上尚美(東京⼤学 ⼤学院学際情報学府 修⼠課程2年))

● 協⼒:⻑岡戦災資料館、⻑岡市⽴中央図書館⽂書資料室

● 研究費:科学研究費助成⾦ 基盤研究(B)「戦前・戦中の報道写真を⽤いたストーリーテリング・デジタルアーカイブのデザイン」

● お問い合わせ:東京⼤学⼤学院情報学環渡邉英徳研究室
(お問い合わせフォーム)https://forms.gle/9eqMUJ1DsgZmYsff7