東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

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April 13, 2022

IoT技術を用いたスマートゴミ箱の実証実験を2022年4月より開始Trial of smart trash bin using IoT technology to start in April 2022

東京大学大学院情報学環・学際情報学府・越塚登研究室(所在地:東京都文京区、教授:越塚登)は、千葉市動物公園(所在地:千葉市若葉区、園長:鏑木一誠)と、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)技術を用いて、動物園内のごみの収集をすることを効率化することによって、お子さんや家族連れの皆さんが、公園内を快適に回遊できるように、園内の衛生環境を保全する取り組みを、共同で開始したことをお知らせいたします。

本取組の第一歩として、2022年4月より共同実証実験を開始いたします。ごみ分量センサーと無線通信装置を設置した小型コンピュータを園内のごみ箱に取り付け。動物園内のゴミ集積場所に破棄されたゴミの分量の自動遠隔検知及び、その分量データをAI(人工知能)技術で解析して効率的なゴミ回収を実施します。
 
■千葉市動物公園のこれまでの取組
昭和60年に開園した千葉市動物公園は、「市民に身近な動物園」「都市の活性化につなげる集客施設」として、施設整備や魅力と学びに繋がる情報発信の強化、集客施策の充実、新たな顧客体験や時代に即した価値の創出など様々な再生事業に取り組んでいます。
様々な企業や学校、学術団体と連携して取組んでいる「AIを活用した来園状況の把握・分析」、「自動運転技術を使った動物解説と新たな園内モビリティの検討」、「IoTを活用した動物エンリッチメントの構築」、「特殊な菌を活用し動物の糞尿をすべて消滅させるシステムの開発」、「井戸水を利用した地球に優しい空調システム」などの実証実験もその一環であり、動物公園にとっての効率性や魅力の向上のみならず、現代人が対峙すべきSDGsに繋がる課題の解決や未来に向けた新技術の確立など、社会の発展につながる実証実験にも積極的に取組んでいます。
 
■東京大学大学院情報学環・学際情報学府越塚登研究室の取組
東京大学大学院情報学環・学際情報学府越塚登研究室では、これまでIoT(Internet of Things、モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence、人工知能)をはじめとして、最先端の情報技術の研究を実施しております。近年は、これらの技術を都市空間における社会課題の解決に資する取組として、スマートシティ(Smart City)の研究に力をいれております。今回は、人々が積極的に注目しない「ゴミ」に着目して、その管理や収集に最先端の情報技術を適用してその課題解決をはかることに取り組みたいと思っております。
 
■実証実験の概要
園内の多く散在している複数のゴミ箱に、レーザー光による距離センサーを備えた低消費電力の小型コンピュータ(図1)をとりつけます。この光センサーによって、ゴミ箱の中の蓄積量を計測し、その値をLTEの通信回線で、クラウドコンピュータに送信します(図2)。これらのゴミ箱のゴミの量をリアルタイムでモニタリングして、満杯状態になりそうな箱を公園管理者に通知します(図3)。更に、ある程度の期間、ごみの蓄積量の変化データを収集し、そのパターンを分析することで、ゴミ箱からゴミが溢れないように、かつ収集作業を省力化できるように、AI(人工知能)技術を用いた最適化回収ルーティングを提供します。それによって、公園管理におけるゴミ収集の労力を軽減しつつ、ゴミ箱が常に溢れていないといった公園内の衛生環境を良好に保全いたします。

図1: ゴミ箱に取り付ける小型コンピュータ装置

 

図2:システムの全体構成

 

図3: ゴミ箱のゴミの状態の可視化システム(ダッシュボード)

 

■組織概要
名称:千葉市動物公園
園長:鏑木一誠
住所:〒264-0037千葉県千葉市若葉区源町280
開園:1985年4月28日
URL:https://www.city.chiba.jp/zoo/index.html

 
名称:東京大学大学院情報学環・学際情報学府・越塚登研究室
責任者:越塚登(教授)
住所:〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
URL:http://www.koshizuka-lab.org/
 

■本件に関するお問い合わせ先
東京大学大学院情報学環・学際情報学府
越塚登研究室
office@koshizuka-lab.org