東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

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July 26, 2021

最新Web技術による「デジタルツイン」構築プラットフォーム『Re:Earth』をオープンソースソフトウェアとして開発


国立大学法人東京大学(総長:藤井輝夫)大学院情報学環渡邉英徳研究室(以下、東京大学渡邉英徳研究室)は、株式会社ユーカリヤ(代表取締役:田村賢哉)と共同で汎用的WebGISプラットフォーム『Re:Earth(リアース)』を開発し、オープンソース・ソフトウェアとして公開しました。

『Re:Earth』
公式サイト:https://community.reearth.io
Githubリポジトリ:https://github.com/reearth/reearth
ライセンス:Apache License 2.0
Code of Conducts(行動規範):https://github.com/reearth/reearth/blob/main/CODE_OF_CONDUCT.md

【成果報告イベント】
<オンライン開催>
最新Web技術による拡張可能なWebGIS「Re:Earth」OSS化イベント
日時:8月10日火曜 19時〜21時
開催方法:Zoom
主催:東京大学大学院情報学環渡邉英徳研究室、株式会社Eukarya

<当日の構成>
基調講演(渡邉英徳教授:東京大学大学院情報学環)
『Re:Earth』の解説
ハンズオンセッション(エンジニア・非エンジニア向け)

<お申し込み>
https://connpass.com/event/219487

 

1. 『Re:Earth』の概要

<『Re:Earth』がオープンソース化で目指すこと>
『Re:Earth』は、フィジカル空間の情報をバーチャル空間に再現する「デジタルツイン」の基盤となるWebGISプラットフォームです。今回、そのデジタルツインの基盤となるソースコードを、様々な分野で自由に活用可能にするために、オープンソース・ソフトウェアとして公開しました。

①複雑・大規模化する地理空間(フィジカル空間)データの手軽な活用環境の提供
②地理空間データの管理・分析・可視化のための汎用WebGISの実現
③多様な分野に向けたプラグイン開発による機能拡張

『Re:Earth』は、最新のWeb技術を用いて開発されており、これまでWebブラウザでは実現することが困難であった本格的なGIS環境を、インストール不要でどこからでも手軽に利用することが可能となっています。今回のオープンソース化によって、本体・プラグインの開発者を含む、世界各国のエンジニアとワールドワイドなOSSコミュニティを形成する計画を進めています。

 

2. 開発背景

南アルプス市ふるさと〇〇博物館(東京大学渡邉英徳研究室制作、株式会社ユーカリヤ技術協力)
 

経営危機自治体(株式会社ユーカリヤ制作、東京大学渡邉英徳監修)
 

「Society5.0」の実現に向けてバーチャル空間とフィジカル空間の融合による持続可能な社会への変革が求められています。渡邉英徳研究室では、これまで「Google Earth」や「Cesium」などのデジタルアースを用いて、平和活動や企業間取引、震災、文化財などの様々な分野のデータをバーチャル空間に分析・可視化する研究を行ってきました。

この度、これまでの研究で得た知見を多くの人たちに提供するWebプラットフォーム化を目指して、株式会社ユーカリヤと共同で『Re:Earth』を開発しました。

 

3. 『Re:Earth』の特徴
<実用性>ノンコードによる情報のマッピング

『Re:Earth』は、専門技術なしでも簡単に扱うことができ、独自のWebアプリケーションの公開が可能です。情報の作成や更新・公開設定などをエンジニアへ依頼したり、難しいプログラミングを行う必要がありません。物語性のある「ストーリーテリング」タイプのビジュアライゼーションも、コーディングなしに実現できます。

<独自性・新規性>様々な分野に対応できるプラグインシステム
『Re:Earth』では、最先端のWeb技術を用いたプラグインシステムが実装されています。それにより、様々な分析や可視化がプラグインで柔軟に対応できます。また、プラグインシステムにより、クライアントがノンエンジニアであっても管理・運用可能なシステムを実現できます。

プラグインの例:

・フロントエンドプラグイン(ベータ版)…「デジタルアース上のオブジェクト」「画面上のウィジェット」「インフォボックス内のブロック」を拡張
・バックエンドプラグイン(開発中)…「インポート・エクスポート可能なデータフォーマット」「演算処理」等を拡張

<実用性・新規性>柔軟なウィジェット配置システム

デジタルアースをベースとして、さらに統計グラフや時系列などの表現を、柔軟なウィジェット配置システムによって実現できます。ドラッグ&ドロップ操作で、ウィジェットを直感的に配置可能です。スマートフォンでの表示にも対応しています。

 

4. 『Re:Earth』の最新Web技術

『Re:Earth』は、最新のWeb技術を用いたクラウドネイティブアプリケーションとして開発されており、クラウドやサーバーレス環境で動作します。高品質・高速なアプリケーションをローコストで開発して素早く提供することができます。

● フロントエンド:React・TypeScript・Cesium・Resium(生産性向上・高品質なUI開発)
● バックエンド:Go(高生産性・高速実行・高ポータビリティ)
● API:GraphQL(高効率・スキーマドリブンな通信)
● クラウド:Docker・Google Cloud Storage(保守管理コスト削減・スケーラブル)
● DBMS:MongoDB(高速で高い柔軟性を持つNoSQLデータベース)
● 認証:Auth0(IDaaS)
● フロントエンドのプラグイン実行環境:WebAssembly + QuickJS(安全高速なJavaScriptの実行)

今後は、AWSを含む、対応する外部サービスを拡張していきます。このことにより、さまざまな環境でアプリケーションのデプロイが可能になります。

 

5. お問い合わせ先

東京大学大学院情報学環渡邉英徳研究室
教授 渡邉英徳(わたなべ ひでのり)
東京大学本郷キャンパス情報学環福武ホール2F 研究室3&5
URL:https://labo.wtnv.jp/
E-mail:hwtnv@iii.u-tokyo.ac.jp

株式会社ユーカリヤ
東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイス27階COREEBISU
代表取締役 田村 賢哉
設立:2017年7月24日
URL:https://eukarya.io/
E-mail:info@eukarya.io