東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

研究Research

October 18, 2022

【マイブック】『フェミニズムとレジリエンスの政治―ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉』(田中東子 教授)【My Book】Prof. TANAKA, Toko

「マイブック」は、学環学府の教員・学生による著書を紹介するシリーズ記事です。著者からの一言とともに、新刊情報を中心にお届けします。新刊情報は学環学府ニューズレターの「BOOKS」コーナーでも紹介しています。(編集部)

『フェミニズムとレジリエンスの政治 ー ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉』
アンジェラ・マクロビー(著)、田中東子・河野真太郎(翻訳)

9月6日に刊行された『フェミニズムとレジリエンスの政治』は、イギリスのフェミニスト・カルチュラル・スタディーズの第一人者であるアンジェラ・マクロビー氏の本邦初の翻訳書になります。ネオリベラリズムのイデオロギーが容赦なく降り注ぐ現代社会において、反福祉国家と自己責任化のもとで編成される新たな女性性の問題に、ポストフェミニズムとメディア文化の観点から鋭く迫る本書は、日本で今必読の書であることは間違いありません。ぜひ、お手に取ってみてください。(田中東子)

発行年月日:2022年9月
出版社:青土社

 
もくじ

謝辞

序章

第1章 フェミニズム、家族、そして多重に媒介された新たな母性主義
母性的=女性的なもの
レボリューショナリー・ロード?
社会主義の理想としての保育園
良い家政(グッド・ハウスキーピング)――家族の生政治
視覚メディアの統治性、母性そして「ネオリベラル・フェミニズム」

第2章 フェミニズムとレジリエンスの政治
フェミニズムからの収益?
競争的な女性性
レジリエンスの政治
『レッド』とレジリエンス
レジリエンス批判
「統制的な規範の暴力」(Butler 1997)
いくつかの結論

第3章 生活保護からの脱出――女性と「妊娠阻害雇用(コントラセプティヴ・エンプロイメント)」
「生活保護暮らしで寝てすごす」
フェミニズムとニュー・パブリック・マネージメント
ジェンダーと反福祉主義

第4章 「福祉国家の呪縛から脱却する」――ジェンダー、メディア、貧困の晒し上げ(シェイミング)
ソーシャル・ワーカーとしてのリアリティTV?
『リトル・ブリテン』/ おぞましさ(アブジェクション)
ホワイト・ディー
黒人女性、「福祉の女王(ウェルフェア・クイーン)」、反福祉主義のメディア
いくつかの結論


参考文献
訳者あとがき
索引