東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

准教授

寺田 透

Associate Professor

TERADA, Tohru

LAB WEBSITE

アグリバイオインフォマティクス教育研究ユニット
http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/

  • 総合分析情報学コース
  • 情報学環教育部

研究テーマ

  • 分子シミュレーション法による生体高分子の機能メカニズムの解明
区分:
学環所属(基幹・流動教員)
  • Applied computer science course
  • Undergraduate research student program

Research Theme

  • Molecular simulations of biological macromolecules
Position: 
III Faculty (Core & Mobile)
略歴

1994年 東京大学理学部生物化学科卒業

1999年 東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻博士課程修了、博士(理学)取得

2004年 東京大学大学院農学生命科学研究科 特任准教授

2018年 東京大学大学院情報学環 准教授

Biography

1999 Ph.D. Department of Biophysics and Biochemistry, Graduate School of Science, The University of Tokyo

2004 Project Associate Professor, Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo

2018 Associate Professor, Interfaculty Initiative in Information Studies, The University of Tokyo


生命活動の担い手であるタンパク質や核酸(DNA、RNA)などの生体高分子は、他の分子と相互作用することで、その生物学上の機能を発揮します。私たちの研究室では、コンピュータ上に生体高分子のシステムを再現し、相互作用とそれに伴う生体高分子の立体構造変化のメカニズムを、分子シミュレーション法を用いて明らかにする研究に取り組んでいます。

  • 分子シミュレーション法の創薬への応用

生体高分子が関わる相互作用の中でも、薬剤(低分子化合物)との相互作用は、創薬(薬剤開発)につながることから、近年特に注目を集めています。創薬では、多数の候補化合物の中から標的タンパク質に強く結合する化合物を選び出す必要があります。現在は、実際に合成した化合物とタンパク質を用いた実験により行っているため、膨大な費用がかかるという問題があります。薬剤とタンパク質の結合をコンピュータ上に再現し、結合力を評価するドッキングシミュレーションは、創薬の費用を大幅に低減することができる技術として期待されています。

私たちの研究室では、実験研究者からの依頼を受け、ドッキングシミュレーションなどを用いたタンパク質と低分子化合物の複合体のモデリングを行っています。ここでは、運動方程式を解いて分子を構成する原子の運動を再現する、分子動力学法を用いて複合体構造を精密化し、結合の強さをより高い精度で評価しています。

また、私たちは、薬剤が標的タンパク質に結合する過程を明らかにする研究にも取り組んでいます。これまでに、複数の原子を1つの粒子にまとめて分子を表現する粗視化分子動力学法を用いて、低分子化合物が酵素の基質ポケットに結合する過程を再現することに成功しています。図は、タンパク質表面を移動する低分子化合物の流束を表しています。この計算には長時間・多数回のシミュレーションが必要となりますが、今後は、GPUを搭載したスーパーコンピュータなどを用いて、1つ1つの原子をあらわに扱う全原子分子動力学法により、低分子化合物の結合過程をより詳細に明らかにしていきたいと考えています。

  • 分子シミュレーション法の開発

分子動力学法では、短い時間刻みを用いて運動方程式を数値的に解いています。現在分子動力学法で到達可能な時間スケールはマイクロ秒程度ですが、生物学的に意味のある運動の時間スケールはミリ秒から秒のオーダーであるため、単に分子動力学法を実行するだけでは、こうした運動を再現することはできません。そこで私たちの研究室では上述の応用研究と並行して、長時間の運動を再現するための方法論の開発にも取り組んでいます。