東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

教授

前田 幸男

Professor

MAEDA,Yukio

  • 文化・人間情報学コース
  • アジア情報社会コース

研究テーマ

  • 政治学・世論研究 数量データによる政治・世論への接近
区分:
学環所属(基幹・流動教員)
  • Cultural and human information studies course
  • ITASIA program

Research Theme

Position: 
III Faculty (Core & Mobile)
略歴

1969年 福岡県福岡市生 東京大学法学部卒業、同法学政治学研究科修士課程修了。フルブライト奨学生として米国ミシガン大学に留学し、2001年に同大学で政治学博士号取得。2006年に東京大学社会科学研究所着任。2006-2011年および2014年から情報学環准教授。


専門分野  
私は長いこと学生をやっていましたが、その間ずっと政治学を勉強して来ました。ただ、政治学は非常に間口の広い学問ですので、学部時代は政治思想史や政治史の勉強、大学院修士課程では戦後日本の知事選挙を研究し、奨学金をもらって進学したアメリカの大学院ではアメリカの世論調査データを分析して学位論文を書きました。無節操に見えるかもしれませんが、丁寧に資料・データを検討する姿勢は貫いたつもりです。現在は、学術選挙調査ミクロデータの分析とマスメディアが定期的に行う世論調査集計値の分析を中心に研究を進めています。専門分野は政治学ですが、調査データの分析は隣接諸科学とも接点が多く、研究関心もメディア研究、社会心理学、統計学にまたがります。

研究領域  
現在の研究は三つに大別されます。一つめは大学院時代以来続けている社会調査データの分析です。いくつかのトピックがありますが、①社会ネットワークと政治行動、②政治参加におけるジェンダー・ギャップ、③マスメディアが政治意識や投票行動に与える影響、について研究をしています。狭い意味での政治というよりは、人々が暮らしている社会的環境や、マスメディアからの情報摂取が、如何に政治行動や態度に影響を与えるかに興味があります。二つめは、より現実政治に近いテーマですが、内閣支持率のことを勉強しています。調査結果の報道を新聞やテレビで見たことがない、という人はまずいないと思いますが、意外と研究の蓄積がない分野です。ミクロデータの分析ではなく、新聞社が行った調査の数値を整理して検討することが多いのですが、具体的な政治的出来事に有権者がどのように反応しているかをうかがい知ることができます。三つめは、統計制度や標本調査の研究で、政府統計やマスメディアの世論調査を含む社会調査データの収集方法や保存・公開の実務について勉強しています。特に、政府統計は政治学的にも面白い対象です。地味で技術的要素が強いのですが、前近代社会においては人間の出生と死を宗教権力が記録したのに対し、現代社会では世俗権力が出生と死の登録を掌握していることを考えるならば、その政治学的な含意が大きなものだと考えています。

大学院生・進学を考えている皆さんに  
研究の有るべき姿を一概に語ることはできませんが、私は丹念に資料・データを検討し、分析を積み重ね、確実な根拠に基づいて議論するように心がけています。学問の世界にも流行があり、派手な言葉が飛び交いますが、学生諸君には一時的な流行に惑わされることなく、自分自身が将来知的な仕事に従事する際の武器となる分析の技術や理論の勉強に腰を据えて取り組んで欲しいと思います。  「学際」情報学府ですので、広い意味で「政治」か「数量データ」のいずれかで接点があれば、分野にかかわらず学生を受け入れたいと思います。実際に分析する「データ」は、新聞記事、国会会議録、あるいはブログのテキスト等の文字資料でも、世論調査データや政府統計のような数量的資料でも、構いません。体系的に資料を収集する意欲と、その資料を丹念に整理・分析する根気がある方であれば、歓迎します。また、外国人留学生で、国際比較調査関連の研究テーマを持つ方は特に歓迎します。