June 15, 2016
しのばず会議 開催Shinobazu Conference was held
2016年4月13日、上野公園にある国立科学博物館事務棟4階大会議室において「第六回しのばず会議」が開催された。
「しのばず会議」は、東京大学大学院情報学環吉見俊哉研究室と凸版印刷株式会社の共同研究の取り組みの一環として、
不忍池周辺の本郷・上野地域に存立する学術・芸術施設をメンバーとして各施設の連携について検討し、未来を描く会である。
会議は2013年にはじまって、その後、半年ごとに開催されてきた。
今回の出席者は吉見俊哉教授、東京藝術大学、国立科学博物館、凸版印刷株式会社文化事業推進本部の関係者、そして、この地域で文化資源活用を実践している情報学環・凸版共同研究「しのばず文化資源活用プロジェクト(略称:しのばずプロジェクト)」のメンバー、特任研究員北岡タマ子、博士課程学生逢坂裕紀子、同潘夢斐、の計10名である。
会議での中心的な議題は、しのばずプロジェクトが2015年度の研究調査を踏まえて試作した地図情報システム「しのばず文化資源マップ」の紹介と検討であった。
昨年度の調査では、ミュージアム等の公的・私的施設及び個人のコレクションから、浮世絵、版画、図版や写真等の視覚資料、地域史料、地図、論文や一般書等の文献資料を対象に、上野公園にある「不忍池」に関する資料の所在調査をし、それらの資料のデジタル公開状況を二次使用の許諾範囲と方法に着目して整理した。
2016年3月時点で集めてきた400点以上の浮世絵・写真・絵葉書・図版・地図に関する所在情報の中で、自由利用可能な資料画像と許諾手続きを経て利用可能になった資料画像を用いて、
視覚資料と情報技術を活用し、不忍池の文化的価値を可視化するコンテンツツールを作成した。
視覚資料の画像を制作年代に近い各時代の地図資料と重ね合わせ、関連位置(写っているまたは描かれている場面の場所か作成者の立ち位置)にプロットし、
時空間の行き来を可能した地図表示システムのプロトタイプを試作した。
作成したマップは、この地域に潜んでいる、文化と空間資源の価値を再認識してもらうツールとなる。
今後このツールどう改善し、将来的活用できるかについて、参加者の間で意見を交わした。
現在この地図情報システムはhttp://shinobazu-prj.jp/mapping/ にて公開中。
記事:潘夢斐、逢坂裕紀子(博士課程)