東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III/GSII

研究Research

January 5, 2017

DNP研究寄付講座開設1周年シンポジウム「産官学民の連携によるデジタル知識基盤の構築」DNP Academic Digital Content Research Project 1st anniversary symposium “Building of digital knowledge infrastructure by industry-government-academia-citizen collaboration”

2016年11月28日、福武ラーニングシアターにて、DNP研究寄付講座開設1周年記念シンポジウム「産官学民の連携によるデジタル知識基盤の構築」が開催されました。主催となる同講座は、2015年に大日本印刷株式会社の寄付により情報学環に設置され、大学所蔵資料のデジタルアーカイブ構築や、高等教育における学術電子コンテンツの利用促進、著作権処理の円滑化などをテーマとして研究活動を進めています。

シンポジウムで基調講演を行なったHarry Verwayen氏が副責任者を務めるヨーロピアナは、欧州全体のアーカイブ機関が保有する数千万の文化資源デジタルアーカイブを集約し、文化・経済両面での利活用を促す基盤としての役割を果たしています。同氏の講演では、多様な主体の連携により大規模なデジタル知識基盤構築を進めていく上での、「大きく考え、小さく動く(Think Big, Act Small)」ことの重要性が強調されました。

同講座の柳与志夫特任教授による基調報告では、国内関連研究機関のネットワークである「デジタルアーカイブ研究機関連絡会」の活動や、産業界を中心とした「デジタルアーカイブ推進コンソーシアム(仮称)」の設立計画をはじめ、日本において産官学民の連携を進めるために同講座が取り組んでいる活動についての紹介がなされました。

後半に行われた、デジタルアーカイブに関連する各界の識者7名によるパネルディスカッションでは、市民が参加して構築するアーカイブの重要性、デジタルアーカイブの促進に関わる著作権法の見直し、人材育成のあり方、開かれた知識基盤を形作る上での大学の役割などが活発に論じられ、最後に吉見俊哉教授から、学術研究や政策形成、国際連携を含めた施策を推進する母体としてのデジタルアーカイブ学会の設立提言が行われました。

記事:生貝直人(大学院情報学環客員准教授)
写真:東由美子(大学院情報学環特任講師)