東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

研究Research

July 14, 2016

凸版印刷と東京大学暦本研究室、IoAの共同研究開始 ~テレプレゼンス・ロボットを使った遠隔体験や無人店舗などのIoA事業創出を目指す

凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)と国立大学法人 東京大学(総長:五神真 住所:東京都文京区本郷7丁目3番1号)大学院情報学環 暦本研究室(教授:暦本純一、以下 東京大学暦本研究室)は、IoT(Internet of Things)※1 の次の概念とされるIoA(Internet of Abilities)※2 研究成果の事業創出を目指し、テレプレゼンス・ロボット等※3 を用いたIoAの共同研究を2016年7月から開始しました。
凸版印刷は、共同研究成果をもとに遠隔体験や無人店舗などのIoAを活用したビジネスを2017年からスタートします。

背景
IoA(Internet of Abilities)とは、「能力のネットワーク」と言われる概念であり、人間やロボットの持つ能力をネットワークで共有するというものです。
「モノのネットワーク」であるIoT(Internet of Things)の次の概念と言われています。たとえば、IoAにより、自宅にいながら、インターネットを介して、地球の裏側にいるロボットの能力を利用し、あたかも自分が存在するかのように、遠隔旅行を体験することができます。
2020年に向けて、IoAの世界がより急速に広がっていくと予想されます。

図1 IoAの概念図

凸版印刷は、イベントや企業ミュージアムなどスペースデザインの企画・運営に携わってきました。
またメーカー、流通企業向けの店頭プロモーションなどリアルの場でコミュニケーションの実績が豊富です。さらにVRなどのコンピュータグラフィックスを用いた映像表現も数多くの取り組みを進めてきました。
これらリアルとヴァーチャルの両面からの知見、実績をさらに進化させるために、IoAの提唱者であり、ヒューマンコンピュータインタラクション(人間とコンピュータの相互作用)※4、ヒューマンオーグメンテーション(人間拡張)※5研究の第一人者である東京大学暦本研究室との共同研究を2016年7月から開始しました。

 

共同研究の概要
共同研究では、IoAの構成要素の一つであるテレプレゼンス・ロボット等を用いた遠隔地からの超臨場体験の研究を行います。
東京大学暦本研究室が、技術検証、基盤技術開発を担当し、凸版印刷が仮設立案、実証実験を担当します。
研究期間は、2016年7月から2017年3月を計画。共同研究の一環として、16年秋以降にイベントや博物館などにおいて共同の実証実験を実施する予定です。

研究成果の展開
凸版印刷は、共同研究の成果をもとにテレプレゼンス・ロボットなどのIoAの中核技術と凸版のソリューションを組み合わせた新しいビジネスをメーカー、流通、金融企業向けに2017年から段階的にスタートする予定です。
遠隔地からロボットを操縦することで博物館や美術館、工場見学などを体験できる遠隔ミュージアム体験ソリューション、遠隔地からロボットを使って接客する無人ショールーム型店舗ソリューション、将来的には遠隔介護や遠隔教育などの新領域にIoA事業を展開していく予定です。

図2 IoA事業の創出

図2 IoA事業の創出

 

 

 

 

 

 

●東京大学大学院情報学環教授 暦本純一氏(れきもと じゅんいち)
理学博士。ヒューマンコンピュータインタラクション、 ヒューマンオーグメンテーション技術を中心に研究。IoTの次の概念とされるIoAの提唱者。
Webサイト:https://lab.rekimoto.org/

【本件に関してのお問い合わせ先】
凸版印刷 広報本部 広報部
〒101-0024 東京都千代田区神田和泉町1
TEL:03-3835-5636 kouhou@toppan.co.jp

東京大学大学院情報学環 暦本研究室
〒113-8654 東京都文京区本郷7-3-1
https://lab.rekimoto.org/

※1 IoT(Internet of Things: モノのネットワーク)
IoTとは、コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットを介して相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行う技術。
※2 IoA(Internet of Abilities: 能力のネットワーク)
IoAとは、人間の能力の拡張を目的とし、人やロボットが時間や空間の制約を超えて各々の能力を活用しあえるネットワーク環境のことを指す。用途として、他人の体験を自らのものにする(体験の拡張)、代理のロボットなどを介して遠隔地を訪れる(存在の拡張)、各々の専門性を生かして共同作業する(能力の伝達)が考えられる。
※3テレプレゼンス・ロボット
遠隔地にあるロボットの視覚情報、センサー情報等を受けて、リアルタイムにロボットを操縦、制御することにより、遠隔地にいながら、その場にいるような臨場体験を持つことができるロボット技術。
※4ヒューマンコンピュータインタラクション(人間とコンピュータの相互作用)
人間とコンピュータ・機械の接点におけるインタラクション(相互関係や対話型操作)に関する研究。
※5ヒューマンオーグメンテーション(人間拡張)
テクノロジーを用いた人間のさまざまな能力の補綴・強化に関する研究。

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主担当教員Associated Faculty Members

教授

暦本 純一
  • 総合分析情報学コース

Professor

REKIMOTO,Junichi
  • Applied computer science course