東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

研究Research

April 2, 2020

山本博文先生訃報に接してEncountering Professor Hirofumi Yamamoto’s obituary

情報学環・学際情報学府でご活躍下さった史料編纂所 山本博文 教授が、令和2年3月29日(日)にご逝去されました。ここに謹んでお悔やみ申し上げます。山本先生は、日本近世史の研究をされ、学内外でも極めて著名な先生でした。学術分野にとどまらず、非常に幅広く活躍され、多くのご著書をご執筆され、またテレビにも数多くご出演されてました。山本先生は、平成22〜24年度の3年間にわたり史料編纂所から情報学環への流動教員として所属いただき、情報学環で研究されると同時に、学際情報学府で学生の指導もしていただきました。その後、現在まで、学生指導にあたられました。山本先生には、情報学環・学際情報学府の中核として支えていただき、またその温和なお人柄から、多くの教職員・学生から愛されておりました。まだこれからという時に残念でなりません。山本先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

情報学環長・学際情報学府長
越塚登


山本教授は、私の両親と同郷(岡山県津山市)の出身で、地元でもかなり有名な方でした。同郷の誼もあって、入所後には大変親切にしていただき、何度か海外出張をご一緒しました。日本史研究を社会的に分かりやすく発信することに腐心されていたと思います。そのことで学界からは批判されることもあったと思いますが、おそらく自分の功績は後の時代に評価されると信じておられたのではないでしょうか。今となっては、生き急いでおられた気がしております。(岡美穂子)


山本博文先生御逝去の報に接し、突然のことで愕然としております。柔軟な発想と広い視野をおもちの方でした。2011年3月の東日本大震災の時には、私はしばらくの間かなり鬱々としていたのですが、ある研究会で山本先生が「日本は昔から大地震がたくさんあり、そのたびに乗り越えて新しい社会を作ってきました。今回もきっとそうだと信じています」とおっしゃるのを聞いて、目を見開かされ、前向きの気持ちを取り戻すことができました。本当にありがとうございました。御冥福をお祈り申し上げます。(佐倉統)


「今回100冊目の本を書きました。」ある年の入学ガイダンスで山本博文さんがそうおっしゃり、たまげた覚えがある。入試業務でご一緒したとき、平易な新書から歴史の本質をえぐり出すようなテキストを選び出して下さり、作問しながら深い感銘を受けた。多作の背後には達見があるのだと納得した。数年前、同僚で科学哲学の金森修さんが亡くなられたことをお知らせした時、ひどくがっかりされ、同じような年齢の私もどうなるかわからないなぁとつぶやかれていた横顔を思い出す。おだやかで華のある方だった。合掌。(水越伸)