東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

教授

園田 茂人

Professor

SONODA, Shigeto

LAB WEBSITE

園田茂人研究室
http://shigetosonoda.net

  • アジア情報社会コース

研究テーマ

  • 「動くアジア」の比較社会学
区分:
学内兼担・授業担当教員
  • ITASIA program

Research Theme

  • Comparative Sociology and Asian Studies
Position: 
Affiliated Faculty
略歴

1961年 生まれ

1988年 東京大学大学院 社会学研究科 博士課程中退

1988年 東京大学文学部 助手

1990年 中央大学文学部 社会学科 専任講師

1992年 中央大学文学部 社会学科 助教授

1997年 中央大学文学部 社会学科 教授

2005年 早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科 教授

2009年 東京大学東洋文化研究所 教授

2009年 東京大学大学院 情報学環 教授

主要業績

詳細な業績は東洋文化研究所(園田茂人ページ)をご覧ください。

学環の研究事業

強すぎる欧米指向への反発から、アジアへと関心を向ける

アジアを研究対象にして、しかも国際比較をしているのは、日本の社会学者としてはかなり例外的な存在だと思います。ニッチを狙ったとも言えるけれど、あまのじゃくな性格だったから、というのが正確かもしれません。

 

社会学という学問は、ある特定の地域やテーマに絞り込んで、ドメスティックな調査研究を行う反面、理論や解釈の枠組みは、ほとんどが欧米から持ってきたものを使っています。

 

これは日本に限ったことではありません。アジアで社会学を教えている教授の多くには、欧米の大学院で学位を取っていることもあって、きわめて強い欧米志向が見られます。

 

でも、これって「知の帝国主義」ではないのか?

 

大学院に進んで、他の学生が欧米に留学するのを尻目に、1984年に初めて中国へ行き、1987年から本格的に留学しました。中国では、長く「社会学はブルジョアの科学だ」と言われて弾圧されてきたのですが、1979年にようやく復権します。それからまもなくのことです。

 

動くアジアを比較することから社会学を構築する

その後、中国を対象にした研究にのめりこんでいきました。何より「何でもあり」だったのが快適だったからです。

 

グローバリゼーションのインパクトを受けながら、中国がどのように変化していくか。こうした視点から、中国に進出した外資系企業や、中国における階 層構造を対象に、実際のデータをもとに調査研究を進めていきました。その結果、『証言・日中合弁』『中国人の心理と行動』『現代中国の階層変動』『不平等 国家 中国』『中国社会はどこへ行くか』といった編著書が生まれることになりました。

 

しかし、中国を見る際に、いつも他国との異同が気になっていました。比較なしに、中国の「独自性」や「独特さ」を理解することができないからです。 『アジアからの視線』『日本企業アジアへ』『東アジアの階層比較』といった研究群は、動くアジアを比較するといった企図によってなされた社会学的研究の成 果です。

 

個性を大切にした研究を

この10年弱、中央大学と早稲田大学で、ゼミ学生の有志と一緒に「海外ゼミ」と呼ばれるプロジェクトを展開してきました。アジアの他大学と共同で調 査を実施し、共有されたデータをもとに研究発表をしていくプロセスは、調査結果からだけでなく、調査プロセスからも多くを学ぶことができました。

 

東京大学でも似た試みをするかどうか、現時点ではわかりませんが、ゼミに参加する諸君には、個性を大切にした研究を進めてもらうと同時に、絶えず他 者との意見交換を行う積極性をもってもらいたいと思います。私の友人であるアジアの社会学者を数多く招へいし、いつも刺激に溢れた研究の場を提供したいと 考えています。