准教授
森 洋久
Associate Professor
MORI, Hirohisa

- 総合分析情報学コース
研究テーマ
- 自律システムと博物館工学
- 区分:
- 学内兼担・授業担当教員
- Applied computer science course
Research Theme
- Autonomous System and Museum Engineering
- Position:
- Affiliated Faculty
- 略歴
1996年3月31日 東京大学 大学院理学系研究科 情報科学専攻 博士課程 退学
1996年4月1日〜1999年9月30日 東京大学総合研究資料館 助手
1999年10月1日〜2005年9月30日 国際日本文化研究センター 文化資料研究企画室 助教授
2005年10月1日〜2009年7月31日 大阪市立大学大学院 文学研究科 助教授
2009年8月1日〜2017年3月31日 国際日本文化研究センター 文化資料研究企画室 准教授
2017年4月1日〜 現在 東京大学総合研究博物館 准教授
- Biography
1996 Mar.31., the University of Tokyo, Graduate School of Science, Drop Doctoral source.
1996 Apr.1. – 1999 Sep. 30., the University of Tokyo, the University Museum, Assistant Prof.
1999 Oct. 1. – 2005 Sep. 30., International Research Center of Japanese Studies, Office of Virtual Resources, Assistance Prof.
2005 Oct.1. – 2009 Jul. 31., Osaka City University, Graduate School of Literature and Human Sciences, Assistance Prof.
2009 Aug. 1. – 2017 Mar. 31., International Research Center of Japanese Studies, Office of Virtual Resources, Assistance Prof.
2017 Apr. 1. – , the University of Tokyo, the University Museum, Assistance Prof.
地図・絵図を地理情報システムとして扱う研究は最も長期的な研究である。地理情報システムは地理学的な動態調査や最適なナビゲーションなどを目的として、現代社会において発展している分野であるが、そのベースは測量図の数値処理である。こういった仕組みを歴史文化的情報の集積や、時空間的なインデックス化に応用する試みは過去にいくつもある。有史レベルの時間スパンで考えれば、地形が現代的測量図からかけ離れたものになることはまず考えられないので、現代的測量図のもと歴史文化的情報を集積していくこともある程度可能ではある。しかし、古い時代の様々な文化情報は、その当時の地理学的時空間概念の中で生み出されているものであって、現代的な測量図の上に考察なしに持ってくることには一定の躊躇があって当然であると私は考える。同様に、現代、急速にグーグルマップなどの測量図的ナビゲーションに吸着回収されている我々自身においても、実際に街中を行動する際には、ちょっとした略式マップや、地下鉄に乗っているときには、どこをいま走行しているか気にしていないなど、様々な空間的概念のなかで暮らしていることに気づかされる。
このような観点から、測量図のみならず、地図・絵図をも含む様々な空間表現をベースマップとして利用可能なGISであるGLOBALBASEの開発を続けている。システムは2011年ごろには一定の完成度になった。国内と東南アジアを中心とした普及ミッションを続けてきた。しかし、システムの複雑度はGoogle Earthの比ではなく、その安定度をなかなか保てないという問題に直面しており、その志は中途である。現在は、安定化のための基礎技術を蓄積し、古いシステムはスクラッチとし、改めて実装を始める準備を進めている。
この活動の中では、地図資料の収集、もしくは各地に残る地図のデジタルデータを集めることを試みてきた。特に、森幸安の描いた地図は、ほぼすべてを網羅している。森幸安は伊能忠敬ほど有名ではないが、江戸時代に日本および世界の地図を模写により収集し、西洋の測地学の知識を国内に紹介した珍しいカルトグラファーである。その発想はGLOBALBASEプロジェクトの発想とも酷似している。
また、総合研究博物館内外の伊能忠敬のコレクションのデジタル化を手がけている。米国国立公文書館やフランスで見つかった伊能中図などもデジタルデータとして収集している。近代以降になると、総合研究博物館の外邦図も、東北大学や京都大学などと合わせて存在は知られているが、まだ、他の機関のコレクションのように研究の陽の当たっていない貴重な資料である。これらのデジタル化も行ってきた。
大阪市大在籍中は、第二次世界大戦中の日本の航空写真の収取やその貼り合わせデジタル化をおこなった。この時代の日本陸軍の地図や航空写真は敗戦直後の焼却処分により多くの資料が残っていないが、偶然にも残っていた大阪市の三千カットに及ぶ大規模な航空写真が発見され、これのデジタル化と公開を試みた。
またそのほかにも、日文研では、日本が描かれている外国製の地図のオリジナルの収集とともに、そのデジタル化、カッシーニのフランス図のデジタルデータなどを収集し、GLOBALBASEの元となり得る様々な地図の収集を行ってきている。