東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

准教授

門田 幸二

Associate Professor

KADOTA, Koji

LAB WEBSITE

http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/
http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/

  • 総合分析情報学コース

研究テーマ

  • トランスクリプトーム解析
区分:
学環所属(基幹・流動教員)
  • Applied computer science course

Research Theme

  • Transcriptome Analysis
Position: 
III Faculty (Core & Mobile)
略歴

2002年東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。産業技術総合研究所、放射線医学総合研究所、東京大学大学院農学生命科学研究科にて特任助手、特任助教、特任准教授を経て、2018年より現職。

主要業績

http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/#original_paperをご覧ください。

Biography

Koji Kadota received PhD in the Department of Biotechnology from the University of Tokyo in 2002. He joined the Graduate School of Agricultural and Life Sciences in 2005 and has been an associate professor since 2018. His research interests include bioinformatics, computational biology, statistics, and education.

Achievements

See http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/#original_paper


 遺伝子の働き具合は、体内の組織(器官)ごとに異なります。同じ組織でも人によって異なりますし、癌と正常のように状態によっても異なります。違いの程度も、きょうだい間のほうが遠縁間よりも小さいでしょう。遺伝子は数万種類存在しますので、1つのサンプルあるいは細胞から得られる遺伝子の働き具合(発現量や発現レベルといいます)に関する情報は、遺伝子数分の要素からなる数値ベクトルになります。生命科学分野で行われる多くの研究は、個体間のバラツキを考慮すべく、状態ごとに複数サンプルの発現データを取得するのが一般的です。
研究の主な出発点は、行方向に遺伝子、そして列方向にサンプルが並べられた数値行列になります。これまでは主に比較する状態間で発現の異なる遺伝子群の検出を行ってきましたが、ノイズ除去・正規化・前処理・探索的解析・統計・可視化・手法の評価・ガイドライン策定などにも取り組んでいます。統計やプログラミングの素養がある程度必要とされますが、重要なのは知識を活用する創造力(ひらめき)です。がむしゃらに頑張るというよりは、やるべき事柄の優先順位を冷徹に見極め、主体的に取り組む人を歓迎します。

教材の開発
 私自身は、所属分野内では「研究よりも教育(講義や教材の開発)のエフォートが非常に高い人」という位置づけです。これは、15年前より所属するアグリバイオインフォマティクス教育研究プログラム(2020年4月以降も兼務)での職務内容や受講者層と密接に関連しています。そこでの多数派である実験系の学生は、残念ながら数式が苦手です。統計の専門家による数式や専門用語だらけの講義は、残念ながら今手元にあるデータをどう解析すべきか悩む彼らの助けにはなっていません。多くの開発者が提供するデータ解析プログラム(例:Rパッケージ)は高機能ではあるものの、マニュアルが難解で彼らが手を出せません。しかし、両者を橋渡しする役割の人がいれば、日本全体の研究力向上に大きく貢献できます。
 私はこれまで、主に上記研究分野で得られたデータを効率的に解析するためプログラムリストやRのスクリプトをウェブページ上で公開・維持してきました。多くのユーザにとって重要な事柄は、「手元のデータを正しく解析し、得られた結果を正しく解釈する」ことです。豊富な例題を提供することで、ユーザは手元のデータ形式に合致したものを探すことや、必要最小限の変更を加えて独自の解析することもできます。私が提供するスクリプトの「ノリ」に慣れることで、プログラム開発者によって異なるマニュアルの「ノリ」の違いを意識することなく利用することができます。この種の研究サポート的な活動は、論文が出るわけでもなく研究費を獲得できる類のものでもありませんが、ユニークなスタンスで教材の研究開発も行っています。
・「(Rで)塩基配列解析」http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_seq.html
・「(Rで)塩基配列解析のサブ」http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_seq2.html
・「(Rで)マイクロアレイデータ解析」http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r.html