教授
伊東 乾
Professor
ITO, Ken
LAB WEBSITE
- 先端表現情報学コース
- 総合分析情報学コース
- 生物統計情報学コース
研究テーマ
- 作曲=指揮、時空間イメージの創造・創出
- 区分:
- 学環所属(基幹・流動教員)
- Emerging design and informatics course
- Applied computer science course
- Biostatistics and bioinformatics course
Research Theme
- Musical Art and its Cognitive Basis
- Position:
- III Faculty (Core & Mobile)
- 略歴
博士(学術)(東京大学)
1965年 東京生まれ
1992年 東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 修士課程修了
1995年 東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 博士課程単位取得退学
1999年 東京大学大学院 総合文化研究科 超域文化科学専攻 博士課程修了
1999年 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 客員研究員、慶応義塾大学 兼任講師
2000年 東京大学大学院 情報学環 助教授
2007年 東京大学大学院 情報学環 准教授
2023年 東京大学大学院 情報学環 教授
ヒトの聴覚とその脳認知に基づく新たな音楽創造の探求
ヒト内耳内、蝸牛の能動的ダイナミクスを元に音楽音響・音声の特徴を抽出することで、従来「スペクトル楽派」以前の音楽が行き詰まっていた物理的倍音の重畳という限界を超え、線形・非線形双方の自在周波数要素を自在に組み合わせる、シニュソイダル・モデルによる認知的音像の分析と、それに基づく音楽作品を創造します。聴覚からもたらされる刺激は大脳新皮質連合野などでの高度な悟性発現の演算時間より素早く、ヒト情動を喚起し、反射的な行動に個人を駆り立てます。こうした特徴を前提とするメディア・マインドコントロールの予防と、その倫理の検討も並行しています。
建築音響脳認知理論の拡張による時空間分析のフィールドワーク
コンサートホールやオペラハウス、あるいは教会や寺院の中での音楽や音声の響きは時間的、空間的に様々な特徴を持っています。私たちは建築音響の脳認知理論を非線形化して、より細やかな音楽音声や音楽音響の解析に適するモデルに拡張し、これを用いて世界の様々な「時空間」をサンプリングするフィールドワークを進めています。ドイツのバイロイト祝祭劇場、アルゼンチンのテアトロ・コロン、日本の新国立劇場などのオペラハウス、カトリック長崎大司教区の木造教会群、本願寺様式の東西真宗寺院群、奈良・東大寺二月堂での修二会、四天王寺聖霊会、また東日本大震災被災地で廃絶の危機に瀕している伝統芸能などが現在進行中の主要なフィールドです。
動学的音楽音響解析に基づく、新たな時空間上演の創成
音楽音場解析に線形・非線形の様々な手法を用いることで、ひとつの儀礼や演奏の中に「音声言語がより明瞭に聴こえる音場」「より没入感の高い均一な音場」などを創り分けてゆくことができます。東西浄土真宗で蓮如以来と伝えられる講式やルター以来のプロテスタントのキリスト教儀礼、あるいはリヒャルト・ヴァーグナーの楽劇などを細かに調べて行くと、こうした知恵が研ぎ澄まされた耳と感覚で実現されていることがわかります。このような実効性ある根拠に基づいて、現在廃絶しつつある伝統儀礼の復元、新たな作品の創作、オペラの新しい時空間演出の創成などに取り組んでいます。