東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

教授

浅見 泰司

Professor

ASAMI, Yasushi

LAB WEBSITE

浅見泰司研究室
http://ua.t.u-tokyo.ac.jp/okabelab/yasami/asami-j.html

  • 総合分析情報学コース

研究テーマ

  • 都市空間情報解析
区分:
学内兼担・授業担当教員
  • Applied computer science course

Research Theme

  • Spatial Information Science
Position: 
Affiliated Faculty
略歴

東京大学工学部都市工学科卒業、ペンシルヴァニア大学大学院地域科学専攻博士課程修了(Ph.D.)、東京大学助手、講師、助教授を 経て、2001年より東京大学空間情報科学研究センター教授、2010年より同センター長、2012年より東京大学大学院工学系 研究科教授。

主要業績

詳細な業績は浅見泰司(履歴・業績一覧)をご覧ください


より良い住環境を形成するための、都市計画や住宅政策のあり方、住環境・都市環境の適切な評価・解析手法について研究を行っている。特に、その中でも空間的な情報が社会・経済的な情報とあわせて、どのような影響を持つのかに関心を持っている。そのため、例えば、ミクロな住環境を対象として建物や敷地の形状を明示的に取り入れた住環境評価や不動産鑑定の研究、社会・経済の仕組みや人々の心理面な どをも含めた住環境形成手法の研究、都市計画の理論化研究などを行っている。

1)住環境評価・都市政策評価

住環境の評価と言ってもその内容は多岐にわたる。安全性、保健性、利便性、快適性、持続可能性の5概念に分類されうるが、その中でも安全性や保健性のように比較的技術的に評価しやすい項目もあれば、快適性のように主観性が入り客観的評価には工夫が必要な項目もある。それらをどのように評価すべきかは壮大でありながら、今後の住環境整備には必須の研究である(文献1)。そのための一例として、不動産市場において、日照条件や緑との近接性などミクロな住環境要素の価値を測定することも重要であり、このような情報は都市・住宅政策に活かしていくこともできる(文献2)。

また、都市・不動産政策の効果分析を通じて、都市政策の今後のあり方を考える研究も行っている。例えば、今後増加が見込まれる老朽化マンションやインフラ整備の問題について、研究に基づいた制度のあり方を提言している(文献6, 7)。

2)街区・敷地・建物などの形状評価

街区形状と敷地形状の関係は?敷地形状と建物形状の関係は?敷地形状の良さはどのように客観的に測れるか?などの疑問に答えるべく、形状に着目した研究を行っている。例えば、戸建住宅地において、敷地形状が類似な場合には同じように建物が建つ傾向があることを利用すると、建物位置を推定したり、傾向把握をすることができる(文献3)。また、区画整理事業など敷地の形状の評価が不可欠な場面での 評価方法を合理化するためには、形状評価関数をどのように改めるべきかを考察している(文献4)。都市スケールにおいては、街路網の形状特徴を求めること で、背後の文化的な地域特徴をあぶりだそうという試みも行っている(文献5)。

[文献]

1) Gao, X. and Y. Asami(2005)“Estimating the Boundary Lines of Land Lots with a Multiobjecive Optimization Approach” Environment and Planning B: Planning and Design, 32, 581-596. 2) 浅見泰司(編)(2003)『トルコ・イスラーム都市の空間文化』山川出版社、東京。 3) 浅見泰司(編)(2001)『住環境:評価方法と理論』東京大学出版会、東京。 4) Gao, X. and Y. Asami(2001)“The External Effects of Local Attributes on Living Environment in Detached Residential Blocks” Urban Studies, 38, 487-505. 5) Asami, Y., A.S. Kubat and I.C. Istek(2001) “Characterization of the Street Networks in the Traditional Turkish Urban Form”Environment and Planning B, 28(5), 777-795. 6)浅見泰司・福井秀夫・山口幹幸(編)(2012)『マンション建替え:老朽化にどう備えるか』日本評論社、東京。 7) 宇都正哲・植村哲士・北詰恵一・浅見泰司(編)(2013)『人口減少下のインフラ整備』東京大学出版会、東京。

今後も、都市・住宅を対象としつつ空間解析的手法を活かした研究を継続して進めていきたいと考えている。空間分析には空間的相互作用、形状影響など、非空間モデルにはない特質があり、これらを明示的に取り入れてモデル化することで新たな分野を広げることができる。また、空間という対象は、工学的な分野のみならず、法学、経済学、心理学、社会学など広い分野の知見を活かしていかねばならず、学際的なコラボレーションも積極的に行っていきたい。