教授
三輪 哲
Professor
MIWA, Satoshi

- 文化・人間情報学コース
研究テーマ
- 社会調査と計量社会学:社会変動とライフコース軌跡の実証研究
- 区分:
- 学内兼担・授業担当教員
- Cultural and human information studies course
Research Theme
- Position:
- Affiliated Faculty
- 略歴
1972年静岡県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、東北大学大学院文学研究科博士課程修了。東京大学社会科学研究所助手、同助教授、東北大学教育学部准教授、東京大学社会科学研究所准教授を経て、2017年4月より東京大学社会科学研究所教授。2016年より学際情報学府兼担。
私の研究室では、社会調査によって得られた情報を統計分析し、その結果を社会学的に読み解く研究をおこなっています。社会階層(格差や不平等)や、仕事と家族(結婚や就労選択)、教育(中退や進学格差)、社会意識(階層帰属意識、幸福度など)など、各自の問題関心にしたがってテーマを決め、教員・ゼミ生が一体となって研究にとりくんでいます。
■専門分野と研究関心
私の専門分野は計量社会学です。研究関心は、理論的には社会階層論、方法的には社会調査法と社会統計学という領域にあります。
社会階層論というのは、格差や不平等のしくみや成り立ちを解明しようとする、社会学の一分野です。社会階層論では、不平等が発生する理由を生産手段保有に求めるものや、社会的分業に求めるものなど、いろいろな論者が己の信ずる理論を提唱しています。また、階層的地位の移り変わりを社会移動と呼びます。親子のあいだでの世代間移動が示す機会の開放性が、社会の産業化にともなっていかに変化してきたかも研究の焦点となっています。
社会調査法とは、個人や世帯を調べるための専門的な方法論です。どんな人を対象に選ぶべきか?(標本抽出)、どのようにアンケート用紙を作るのか?(質問紙構成)、どうやってアンケートを回収するか?(実査)、データをどう整理するか?、などが具体的な内容となります。実証的な研究をするためには、理論的な概念を質問項目として置き換えることが必要となるのですが、その際にも社会調査法の専門知識が重要な役割を果たします。
社会統計学は、社会データを解析するための統計学です。社会調査データはしばしば規模が大きいため、コンピュータとソフトウェアの力を借りて分析を進めることが重要となります。社会統計学の知識・技術を用いてデータ分析した結果は、社会階層論などの理論に基づいて解釈をします。ときには、分析結果から、新たな理論を生み出されることもあります。
理論的で体系的な説明、データ収集のための調査、得られたデータの統計分析の3つが一体となって、計量社会学の研究が展開されます。とりわけ私は、SSM(社会階層と移動調査)やJLPS(東大社研パネル調査)のデータ分析により、人びとのライフコースと社会の変動がどのように絡み合いながら不平等を生み出しているかを解明しようとしています。
■進学を考えている方へ
修士課程については、門戸を広くしたいと思っています。統計や数学は苦手でも、上記の研究関心に興味を持っており、これから研究にとりくもうとする意欲があれば、大歓迎です。あるいは、研究テーマは多少ずれるとしても、計量分析という方法に興味がある方や、社会調査の専門知識を学んで仕事に活かしたい人も、歓迎します。
博士課程については、厳選しようと考えています。修士課程できちんと研究の「お作法」を習得したことは大前提で、研究領域および方法論において、私のそれらとある程度重なる人を受け入れるつもりです。英語や統計の基礎知識にかんしても、一定水準を満たしていることが条件に入ります。ただし、修士論文がうまく書けなかったとしても、それのみで判断することはいたしません。