東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

研究Research

June 27, 2016

平成29年度 学府入試説明会開催報告A report of orientation for H29 entrance exam of GSII

2016年6月5日(日)、平成29年度学際情報学府入試説明会が本郷キャンパスの福武ホールで開催されました。

今年は、午前中に個別の説明会が開かれたコースもあり、全体の説明会では298名の受験生が集まり盛況となりました。

 

学際情報学府と各コースの紹介

説明会の前半では、学府長と専攻長からのご挨拶と、コース長の先生方からのコース紹介がありました。学府長や専攻長からは、日本が先進諸国と比べ、大学院生が不足していること、学際研究の重要性、などが伝えられました。中でも、ネットワークがご専門の中尾先生のお話によれば、人のネットワークを考えたとき、学際情報学府のように環を形成していることはとても効率がよいそうです。今の世界で、ある人から他の任意の一人(たとえばKevin Bacon)にたどり着くまでに、大体6Hopかかるところ(注1)が、輪のような形に最適化すれば1.8Hopまで減らせるそうで、このコンパクトな繋がりが、学際研究、共同研究がしやすい環境を形成しているとのことでした。各コース長の先生方からも、時代背景を踏まえた興味深いお話がありました。

注1: Six degrees of Kevin Bacon, https://en.wikipedia.org/wiki/Six_Degrees_of_Kevin_Bacon

 

各研究室のブース展示

説明会の後半にあったブース展示には、多くの学生が参加していました。VR/AR、画像認識、モビリティ、ネットワーク、などからソーシャルメディアのあり方、コミュニケーション、地域情報の可視化、教育、に至るまで、様々な展示が見られ、文系、理系が混ざった学会(お祭り)のようでした。総合分析コースはダイワユビキタス学術研究館でも展示を行っていました。

中から、いくつかの展示を紙面でご紹介します。大島研では、MRIやCT画像から血管を三次元化したものを、VRの眼鏡で見ることができました。血流は一部のみでなく全身の血管でシミュレートすることが大切で、これにより、ステントを入れても他の部位で出血したりしない、良い血管が分かるようになるそうです。動画を見せていた工藤研では、トップアスリートと素人の動作の違いを様々に計測し比較して展示していました。たとえば、雪面を車で走行する際、あるいは、剣道をする際、素人は目線がフラフラするのに対し、プロは注視点が真ん中から動かないことが分かります。

コミュニケーションの研究をしている石崎研では、言葉の自然発生的な使われ方に着目し、コミュニティの形成過程や教育方法のデザインを再考していました。丹羽研では、テレビのドキュメンタリーや映画のアーカイブの資料化を通じ、様々な概念が社会でどう受容されてきたかを、放送局や研究機関と協力して研究していました。今年、メディアスタジオが竣工したところで、実際に番組を作るワークショップも開講予定ですので、今後の活動にも注目です。

記事:
川上 玲(助教)

写真撮影:
酒井 麻千子(助教)