東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

研究Research

April 6, 2017

坂村健教授 退職記念講演会Final Lecture of Professor Ken Sakamura

2017年3月21日、情報学環の発展に長年寄与された、坂村健教授の退職記念講演会が安田講堂で開催されました。

坂村健先生は、昭和54年より東京大学で教鞭をとられ、理学部情報科学科から総合研究博物館をへて、平成12年に本情報学環教授になられました。情報学環在任中には副学環長を務められ、総合分析情報学コースやユビキタス情報社会基盤研究センターの設立、ダイワユビキタス学術研究館の建設を中核となって進められました。ご専門の計算機科学分野では、トロン(TRON)と名付けた計算機の技術体系の研究を30年以上に渡り推進されました。1980年代より、ユビキタス・コンピューティング、今で言うIoT(Internet of Things)を世界に先駆けて提唱されました。これらの業績に対して、紫綬褒章や学士院賞、ITU 150周年記念表彰など、数多くの受賞をされました。

当日、講堂は約1,000人もの聴講者を迎え、熱気あふれる中で講演が行われました。タイトルは、「オープンアーキテクチャの未来」。前半は、情報学環設立時や2001年の「知の光」のイベントなど、当時を振り返るエピソードが紹介されました。トロンプロジェクトやIoT、ユビキタス・コンピューティングの研究ヒストリーも、様々なエピソードを交えてお話されました。後半は、未来に向けて坂村先生が取組みたい様々な構想が熱く語られました。この38年間、ICT分野も社会も大きく変わるにつれて、坂村先生の取組み自体も柔軟に変わってきたとのこと。「変わり続けることを変わらずにやってきた」との言葉、38年にわたり変わってきたことは、むしろ誇るべきことであると、講演の最後を締めくくられました。

講演会の最後には情報学環教員有志及び坂村研究室一同より花束が贈呈され、聴講者からの拍手の鳴り止まぬ中、記念講演会を盛大に終えました。坂村健先生、38年間の長きにわたり大変お疲れ様でした。今後も、日本と世界の未来に向け、ますますのご活躍をご祈念いたします。

 

越塚登(教授)

This article was written by Professor Noboru Koshizuka