東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

教授

嶋田 正和

Professor

SHIMADA,Masakazu

研究テーマ

  • 複雑系としての生命とその進化
区分:
学内兼担・授業担当教員
所属:
総合文化研究科

Research Theme

Position: 
Affiliated Faculty
Department: 
Graduate School of Arts and Sciences
略歴

1978年 京都大学理学部生物系 卒。1985年 筑波大学 大学院生物科学研究科 修了 理学博士。
1985年~ 91年 東京大学教養学部 助手。1992年~ 2003年 大学院総合文化研究科 准教授、2004年~現在 同 教授。


① 昆虫3種の実験系が示すカオス的動態

豆・マメゾウムシ類・寄生蜂を組み合わせて3者系の実験系を作ります。アズキ(豆)-マメゾウムシ1種-2種の寄生蜂(コマユバチの1種とゾウムシコガネコバチ)の3者系では、最初マメゾウムシ1種-ゾウムシコガネコバチの2種系でスタートすると、小さく穏やかな振動が永続します。そこにコマユバチを加えて3種系にすると、前者2種は大きな振幅の複雑な動態に変わり、最大リアプノフ指数が正の値として推定され、カオス的挙動になっていました。「3者系はカオスの入り口」と言われる理由を研究しています。

② 寄生蜂の学習と進化動態

ゾウムシコガネコバチは、豆内にいる宿主マメゾウムシを探す時に「匂い学習」をします。彼らの匂い学習は、宿主2種の頻度に依存して選好性が変わることを、私たちは突き止めました。この匂い学習は2段階あります。一つは母蜂が豆表面を歩き回って、豆内に潜んでい る宿主の匂いを探し当てて寄生する学習で、寄生成功すると学習により選好性が高まります。もう一つは、幼虫から蛹~羽化にかけて豆内で宿主の残骸と一緒に いる間にその匂いを記憶して、羽化後にその匂いを頼りに宿主を探し始める学習です。後者の学習は、次世代の母蜂の選好性へと受け継がれます。私たちは、こ の2段階学習を個体ベースモデルで定式化し、選好性に関わる遺伝的アルゴリズムを組み込んで進化シミュレーションをすると、初期の数十世代には選好性の進化速度が有意に高まりました。つまり、学習が進化を間接的に推進するBaldwin効果を示しているのです。迅速な適応性の機構解明に挑戦しています。

③ 進化ゲーム理論による生き物の振る舞い

生き物の振る舞いの多くは進化ゲーム理論で理解できます。単細胞の珪藻の精子と卵の性比調 節、細胞性粘菌の柄と胞子数の比率、寄生蜂の母親が産み分ける息子と娘の性比調節など、私たちはいろんな材料で研究しています。生き物は集団中で有利な振 る舞いをした個体が次世代に多くの子を残す自然選択の作用により適応進化します。ライバルは集団内の他個体です。「競争的最適化=進化ゲーム理論」は生き 物から人間社会に至るまで面白い現象を解析できる理論です。

■求む大学院生!

学際性の高い学生を求めています。昆虫や藻類、バクテリアなどの実験系に興味を持つ人、シミュレーション解析に興味がある人、大歓迎です。

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産卵中のゾウムシコガネコバチ

 

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マメゾウムシ2種と寄生蜂の3種実験系