東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

教授

貞広 幸雄

Professor

SADAHIRO, Yukio

LAB WEBSITE

住宅・都市解析研究室
http://ua.t.u-tokyo.ac.jp/

  • 総合分析情報学コース

研究テーマ

  • 空間情報科学
区分:
学環所属(基幹・流動教員)
  • Applied computer science course

Research Theme

Position: 
III Faculty (Core & Mobile)
略歴

1989年3月      東京大学工学部都市工学科卒業
1991年3月      東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修士課程修了
1991年10月   東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士課程中途退学
1991年11月   東京大学工学部都市工学科助手
1995年5月      東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻講師
1995年8月      東京大学先端科学技術研究センター講師
1998年6月      東京大学空間情報科学研究センター助教授
2001年4月      東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻助教授
2012年10月   東京大学空間情報科学研究センター教授
2019年3月      東京大学情報学環教授

主要業績

詳細な業績は個人ホームページ(https://home.csis.u-tokyo.ac.jp/~sada/home-j.html)をご覧ください。


当研究室では,空間情報科学に関わる様々研究を幅広く手懸けています(詳しくはhttps://home.csis.u-tokyo.ac.jp/~sada/home-j.htmlをご覧下さい).

人間-環境システム解析
「あなたがた白人は皆,たくさんのものを持ってニューギニアにやってくるのに,なぜ自分たちはこれまで“積み荷”(カーゴ・価値ある物資)をほとんど生み出せなかったのか」.ジャレド・ダイアモンドのベストセラー「銃・病原菌・鉄」において,ニューギニア政治家ヤリの発した問いです.人間の生活は,周囲の環境から様々な影響を受けて成立しています.自然環境,社会環境,文化環境,経済環境など,環境の様相は地域や時間によって実に多様です.「銃・病原菌・鉄」は,自然環境に基づく環境決定論を,分子生物学,言語学,文化人類学などの諸学問を活用し,現象の緻密な記述とその裏付けの提示という手法を用いて検証しています.
空間情報科学は,上の問いに対してより客観的,定量的な解を与える可能性を秘めています.急峻な日本の地形は都市の形状をどう決定づけているのか,気候の差異は食文化の差異にどう影響するのか,異なる文化の接触は人間社会をどのように変えるのか,商業施設は何故あのような複雑な分布をとるのか.空間情報科学は,こうした問いに答えるための極めて有能な解析手段です.
環境が人間に影響を与えると同時に,人間もまた,環境に作用します.文化環境,言語環境などは人間が自ら作り出すものです.人間は,与えられた自然環境と共存しながら生活しています.人間と環境が相互に影響し合う系は,人間-環境システムと呼ぶことができます.空間情報科学を用いてこのシステムの特徴を炙り出し,その背後にある機構を明らかにすることで,人間と環境の双方に対する理解を深め,より望ましい共存の有り様を模索できないかと考えています.

施設配置・経路計画
人間の生活には,様々な基盤施設が必要です.市役所や学校,消防署などの公共施設,鉄道や道路などの移動施設,公園やホールなどの余暇施設などを,適切な場所に適切な規模で配置し,運営しなければなりません.しかし,土地と予算の限られた状況で,多数の施設を全て適切に配置することは,必ずしも容易ではありません.同様のことは,人間の移動経路についても当てはまります.通勤,通学,買物,旅行などの日々の移動経路だけでなく,鉄道やバスなどの公共交通網,通学路,避難経路など,時間,傾斜,混雑などを勘案しながらの経路計画は,やはり複雑な作業です.そこで,公共施設から商業施設に至る様々な都市施設の適切な配置計画,及び,バス路線や通学路などの適切な経路計画を立案する手法を研究しています.また反対に,人口減少下の我が国では,都市の効率化のために施設統廃合が求められています.施設の新設とは異なり,統廃合問題では多くの反対意見が出ます.現実的な解は何か,模索しながら合意形成するための,計画立案支援手法を開発しています.

趣味の空間情報科学
江戸期藩領,旧街道,苗字,鉄道・バス路線網,日本酒藏元・杜氏地図,飲料自販機地図など,趣味と研究の境界に位置する空間情報化の可視化や解析を行っています.これらの空間現象や分布は,なぜこのような様相を呈しているのか,どのように形成されてきたのか.この問いに答える試みは,一見,学術的とは思われないかもしれません.しかし,空間情報科学はあらゆる空間現象を扱う学問領域であり,研究対象の拡張は新たな空間概念の発想や空間解析手法の開発に繋がる大きな可能性を秘めています.あらゆる空間現象を自在に取り扱う解析枠組みの構築を最終的な目標とし,趣味の空間情報科学に勤しんでいます.