東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

准教授

中村 周吾

Associate Professor

NAKAMURA,Shugo

LAB WEBSITE

生物情報工学研究室
http://www.bi.a.u-tokyo.ac.jp/

研究テーマ

  • 生命現象の情報学
区分:
学内兼担・授業担当教員
所属:
農学部

Research Theme

Position: 
Affiliated Faculty
Department: 
Faculty of Agriculture
略歴

1968年大阪生まれ。1991年東大工学部計数工学科卒業。同大学院農学系研究科応用生命工学専攻修士課程修了、博士課程 中退後、同専攻助手、助教授(現在兼任)を経て、2012年より現職。


■生命現象と情報

生命現象は、データの宝庫です。たとえばヒトの生命活動は、30億文字のA, G, T, C(ゲノム)によってプログラムされています。ゲノムの中は、タンパク質や核酸などの生体分子の設計図が埋め込まれた「遺伝子」領域とそれ以外の領域が入 り混じっていて、遺伝子領域から膨大な数の生体分子が作り出されます。生体分子はくっついたり離れたり、互いに制御し合って極めて複雑な相互作用ネット ワークを形成し、その中で化合物を新たに合成したり改変したり分解したりすることで、生物の生命活動が維持されています。

ゲノムのA, G, T, Cやタンパク質を構成する20種類のアミノ酸は文字列として表記できるので、文字列を解析する情報科学手法が有効に適用できます。一方でそれらの個々の文 字は、実際には異なる物理化学的性質あるいは立体構造をもつ分子ですから、他の分子との相互作用の解析には立体構造やその動きが重要な意味を持ちます。ま たそれらの解析に必要な計算量は膨大で、大規模並列計算技術も必要になります。

生命現象は複雑で、自分の体の中で実際に起こっていることでも、まだメカニズムがよくわかっていないことは本当にたくさんあります。このような生命現象の謎を解き明かし、応用していくためには、分子生物学的な実験手法とともに情報科学を用いたアプローチが、今や必要不可欠なものとなっています。

■研究内容について

生物情報工学研究室では、情報学環兼担の清水謙多郎教授と共に、生命現象にかかわる情報学の手法開発やその応用、解析の基盤となる大規模並列計算技術の開発やデータベース構築など、さまざまな方面から研究を進めています。

研究テーマのひとつであるタンパク質のアミノ酸配列解析では、対象タンパク質の20種類のアミノ酸の並びを入力として、その中のノイズに埋もれた機能にかかわる情報をサポートベクターマシンや隠れマルコフモデルなどの 機械学習法を用いて抽出する、タンパク質機能予測法を開発しています。タンパク質立体構造・4次構造予測では、対象タンパク質のアミノ酸配列から、そのタ ンパク質がどのような立体構造をとり、またどのように複合体を形成するかをできるだけ高精度に予測するシステムの開発を行い、そのタンパク質と結合する薬 剤の設計などに役立てようとしています。

さらに、実験的手法や構造予測から得られた立体構造を対象に、分子動力学シミュレーションによる動きの解析、対象タンパク質が他のタンパク質、DNAやRNAなどの核酸、薬剤などの低分子化合物と、どの位置でどのように相互作用するかを予測するシステムの開発や、それらの予測・研究に役立つデータベースの構築、その他大量の生命科学データをもとにした解析・予測も行っています。

■学生の皆さんへ

生物の生命現象はミクロで複雑で、ノイズが多いのに精緻にできていて、ひとつの学問だけでは到底立ち向かうことができません。生物情報工学研究室では、分子生物学、情報科学、化学、工学など、さまざまなバックグラウンドをもつ人が、知識を共有し議論を深めながら研究を進めています。また、実験系の研究室とのさまざまな共同研究も行っています。異分野で開発された手法が有効であることもよくあります。どのようなジャンルにおられる方でも、この分野に興味がわいたら是非お声かけください。
nakamura-shu-12_fig1_fmt
後に実験的手法で明らかにされた天然構造。

 

 

 

 

nakamura-shu-12_fig2_fmt予測構造。

 

 

 

 

タンパク質立体構造予測コンテストCASP9における私たちの予測成功例。
172個のアミノ酸の鎖2本から成るタンパク質「3NA2」のアミノ酸配列 「MGSSHHHHHHSSGRENLYFQGHVEPGVT…」だけを入力としてその4次構造(複合体構造)を予測。