東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

准教授

前島 志保

Associate Professor

MAESHIMA, Shiho

  • 文化・人間情報学コース

研究テーマ

  • 比較出版史、メディア史、メディアの表現史
区分:
学環所属(基幹・流動教員)
  • Cultural and human information studies course

Research Theme

Position: 
III Faculty (Core & Mobile)
略歴

1994年 東京大学教養学部教養学科卒業

2010年 東京大学大学院総合文化研究科より博士号取得

2011年~2014年 法政大学経営学部 専任講師、准教授

2014年~2018 東京大学大学院総合文化研究科 准教授

2016年 ブリティッシュ・コロンビア大学文学部アジア研究科よりPh.D.取得

2018年~ 東京大学大学院情報学環(流動教員)、東京大学大学院総合文化研究科(兼担) 准教授

主要業績

・『会館芸術』復刻版(監修・解説) ゆまに書房 戦前篇(全11巻)2016年、戦中篇(全13巻)2017年、(戦後篇2018年刊行予定)

・「拡大される俳句の詩的可能性――世紀転換期西洋と日本における新たな俳句鑑賞の出現」 河野至恩・村井則子編 『日本文学の翻訳と流通――近代世界のネットワークへ(アジア遊学 216)』 勉誠出版 2018年

・「現代マスメディアの起源へ――戦間期〈婦人雑誌〉とは何か」 東京大学教養学部編『分断された時代を生きる(知のフィールドガイド)』 白水社 2017年

・「動態としての占領期雑誌研究に向けて――福島鋳郎コレクション予備調査を通して見えてきたもの」『Intelligence』17号 2017年

・“Chapter One: New Journalism in Interwar Japan.”(Anthony Rausch ed. Japanese Journalism and the Japanese News Paper: A Supplemental Reader. Amherst, NY: Teneo Press. 2014.

・“Constructed/Constructing Bodies in the Age of the New Middle Class: Representations of Modern Everyday Life Style in the Japanese Interwar Women’s Magazine.” Resilient Japan: Papers Presented at the 24th Annual Conference of the Japan Studies Association of Canada. Toronto: Japan Studies Association of Canada. 2014.

・『南方熊楠英文論考 [ノーツ・アンド・クィアリーズ]誌編』(飯倉照平監修/松居竜五・田村義也・中西須美氏らとの共訳)集英社 2014年

・“Print Culture and Gender: Toward a Comparative Study of Modern Print Media.” Expanding the Frontiers of Comparative Literature Vol.2.: Toward an Age of Tolerance. Sung-Won, Cho. Ed. Seoul: Chung-Ang University Press. 2013.

・「第4章 消費、主婦、モガ ― 近代的消費文化の誕生と「良い消費者/悪い消費者」の境界について ―」 笠間千浪 編著 『<良女>と<悪女>の身体表象』 青弓社 2012年

・「「画報欄」の時代――雑誌写真の変遷と昭和初期の『主婦之友』」 『比較文學研究』(特輯 雑誌メディアにおける視覚文化) 第90号  東大比較文學會  2007年


表象されたものとそれを伝達・媒介するメディア、表象を生み出す側とそれを受け変容させていく受け手の、それぞれに関心があります。現在は、以下のような研究に取り組んでいます。

■出版・報道の大衆化と表現に関する研究

定期刊行物に焦点を当てつつ、近代日本における出版・読書文化の大衆化現象を、写真・ラジオ・映画・テレビなど他の媒体および他の地域の同様の現象と対比しながら、調査・考察しています。

新聞・雑誌などの定期刊行物は、これまでは様々な研究の資料/史料として扱われる傾向がありました。しかし、私は定期刊行物のメディアとしての在り方自体に注目し、編集手法(表象様式)や営業手法がどのように変化したのか、そしてそれは編集者と読者、記事の表象内容と読者、および読者同士の関係性をどのように変えたのか、その社会史的・文化史的意義は何なのか、といった事柄に関心を持っています。定期刊行物の表象内容よりも、表象様式あるいはメディアとしての在り方に焦点を当てた研究と言えるでしょう。アプローチの面では、主に文学・視覚芸術の研究で用いられてきた研究手法、および比較文学比較文化研究で培われてきた時代・地域・ジャンルを越えてものごとを考える研究態度を、マスメディアのテクストに応用した、メディアの表現史研究と言うこともできます。

具体的な研究領域は、以下の通りです。いずれも、明治期から昭和初期(占領期頃)までの日本の事例を主な対象とします。

(a)出版・読書文化の大衆化現象

(b)定期刊行物のジャンルの成立と変容

(「新聞」「雑誌」のような大きなカテゴリー区分から、「総合雑誌」「婦人雑誌」「画報誌」「週刊誌」など下位区分に至るまで)

(c)報道の表現手法の変容

■日常的近代性言説の形成と変容に関する研究

同時に、大正期・昭和初期の日本の大衆的な定期刊行物に描かれた近代的生活像・家庭像・帝国日本表象等について、同時期の他の地域での類似例と比較しながら分析する研究も行っています。これは、定期刊行物に掲載された記事や広告を資料として用いる、従来から存在する、表象内容に注目した言説・表象分析研究と言えます。

これまでは主に戦間期(大正期・昭和初期)を中心に研究してきましたが、徐々にその前後の時期へも関心を延ばしています。また、日本との比較研究を行うにあたって、今までは欧米、特に英語圏の事例を主に扱ってきましたが、他の言語文化圏での出版・読書文化の大衆化現象、報道の表現、日常的近代性言説の構築についても少しずつ学んでいきたいと考えています。流動教員として在籍する間、情報学環の同僚や学生の皆さんとともに、大衆的なメディアの表現に関する研究を深めていければ幸いです。