東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

教授

石田 英敬

Professor

ISHIDA, Hidetaka

LAB WEBSITE

石田英敬研究室
http://www.nulptyx.com/

研究テーマ

  • 情報記号論
区分:
学環所属(基幹・流動教員)

Research Theme

  • Information Semiotics
Position: 
III Faculty (Core & Mobile)
略歴

人文科学博士(フランス・パリ第10大学)

1953年 千葉県生まれ、東京大学文学部 卒業

1983年 パリ第10大学大学院 修士課程修了(近代文学修士)

1985年 東京大学大学院 人文科学研究科 仏語仏文学専修 修士課程修了(文学修士)

1989年 パリ第10大学大学院 博士課程修了(人文科学博士)

1992年 同志社大学専任講師・助教授を経て、東京大学教養学部 助教授

1996年 東京大学大学院 総合文化研究科 教授

1996年 パリ第8大学 客員教授(~1997年)

1997年 パリ第8大学・リヨン第3大学 客員研究員(~1998年)

2000年 東京大学大学院 情報学環 教授

2002年 パリ第7大学 客員教授(~2003年)

2009年 東京大学大学院 情報学環長

主要業績

詳細な業績は石田英敬研究室(文献一覧)をご覧ください。

学環の研究事業

情報記号論

C.S.PeirceとF.de Saussureを祖として二十世紀を通して発達してきた人間の意味活動のインターディシプリナリーな研究の動きである〈記号論Semiotics〉は、 1)《構造主義》と呼ばれた二十世紀における社会・文化知のパラダイム変換における認識論的役割、 2)ポスト産業時代におけるメディア文化や大衆社会現象の理解と分析の枠組みとしての批判的役割、にそれぞれ大きく貢献したあと、今日では、3)人間の意 味経験の成立基盤を変化させつつある情報言語(=人工言語)のテクノロジーに媒介された情報メディア社会の存立構造を解き明かす知のパラダイムとしての新 しい役割を果たすことを求められています。これが、今日の記号論に求められている研究課題としての、〈情報記号論〉の領域だといえるでしょう。

 

私がこれまで行ってきた研究は、四つの領域に大別することができます。

 

1)近代の文学や芸術における記号や言語の経験を分析することにより、文学や芸術という名をもった〈意味批判〉の根源的リテラシーが成立する条件を 問う、 「詩学」研究(例えば、「世界は一冊の書物に到達する」と述べた詩人マラルメにとって、「文学」とは世界の成り立ちを解き明かす〈文字の学〉でした)

 

2)二十世紀の言語・記号科学や思想・哲学の理論史を概括し、今日の世界における意味批判の知について、独自の理論的総合を与えようとする、意味批 判の 「メタ理論」研究

 

3)とくに、西洋および日本の近代世界において、表象や語りといった意味経験の枠組みが、いかに記号や言語の制度として成立したかを、 歴史的文化的に解明する「近代批判」研究

 

4)現代言語科学や記号論の知見を援用しながら、同時代のメディアテクストを対象に、〈ディスコース〉の記号分 析を行い、私たちの世界の意味批判の理論的パラダイムを模索しようという「メディアの記号分析」研究

 

このうち、当面、「情報記号論」の講義では、上記 2)の「メタ理論」研究との関わりで、情報科学の基本問題を考えるという側面、そして、上記4)の「メディアの記号分析」との関わりで、ディジタル・テク ノロジーに媒介された記号コミュニケーションを理解するという側面が、当面の課題となります。

 

例えば、長尾真らによる最近刊の岩波書店『マルチメディア情報学』講座では「情報が人間にとってどのような意味をもつかを考える場合、記号論的立場 を知っ ておくことが大切である」とされ、情報記号論はマルチメディア情報学の基礎理論のひとつとしての位置を与えられています。とくに、インターネットに代表さ れる新情報社会の到来をうけて、文系・理系双方の研究者・教育者に共通した、二十一世紀の基礎的な知としての総合的な〈情報リテラシー〉を構想する場合、 人工言語に基づいた情報知が、人間の社会や文化を認識するための社会知や文化知とどのように結びついたものであるのかを提示し、総合的に情報メディア社会 を理解する〈総合的リテラシー〉の確立が求められていると言われます。そのような新世紀の課題を考えるための機会として、この講義を位置づけることができ れば、というのが、現在の私の抱負です。