東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

准教授

平川 晃弘

Associate Professor

HIRAKAWA, Akihiro

  • 生物統計情報学コース

研究テーマ

  • がん臨床試験のデザインと解析
区分:
学内兼担・授業担当教員
所属:
大学院医学系研究科
  • Biostatistics and bioinformatics course

Research Theme

  • Design and analysis of cancer clinical trials
Position: 
Affiliated Faculty
Department: 
Graduate School of Medicine
略歴

2011年東京理科大学大学院工学研究科博士課程修了.博士(工学).(独)医薬品医療機器総合機構 審査専門員,東京理科大学工学部 助教,名古屋大学医学部附属病院 先端医療・臨床研究支援センター 講師を経て,現在,東京大学大学院医学系研究科 生物統計情報学講座 特任准教授.

Biography

Akihiro Hirakawa is a Project Associate Professor at the Department of Biostatistics and Bioinformatics, Graduate School of Medicine, at the University of Tokyo. His areas of specialty are biostatistics, clinical trial methodologies, and bioinformatics. Prior to joining the University of Tokyo, he served as the Lecturer of Biostatistics at the Center Advanced Medicine and Clinical Research, Nagoya University Hospital, where he leaded the Statistical Analysis Section. He also served as a reviewer in the Office of New Drug V (clinical oncology) at the Pharmaceutical and Medical Devices Agency (PMDA). Dr. Hirakawa received his PhD from the Graduate School of Engineering at Tokyo University of Science.


分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の台頭により,がん治療成績は大きく向上しました.他方で,従来の抗がん剤開発で用いられてきた臨床試験デザインや統計解析法では,これらの薬剤の最適投与量・投与期間や有効性・安全性を適切に評価できない場合もあることが分かってきました.患者さんの遺伝子情報などに応じて最適な治療を提供する『個別化医療』が促進されているように,がん臨床試験のデザインと解析にも,薬剤の作用メカニズムに適した統計的方法論が必要です.平川研究室では,以下に示す臨床試験デザインの研究開発とその実践に取り組んでいます.また,日本の抗がん剤開発の規制要件と課題を探るために,レギュラトリーサイエンスについても研究しています.

第1相試験デザイン

抗がん剤の第1相試験の目的は,第2相試験以降で用いる推奨投与量を決定することです.ただし,抗がん剤は強い毒性を伴うため,一般的な薬剤のようにプラセボを対照としたランダム化比較試験を実施して推奨用量を決定することは困難です.抗がん剤の推奨投与量は,患者さんの安全性を担保するために低用量から徐々に増量していく漸増デザインにより決定されます.本研究室では,安全かつ有効な用量を効率的に探索できるベイズ流臨床試験デザインについて研究しています.

第2相試験デザイン

分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の中には,癌種横断的に効果が期待できるものもあります.他方で,臨床試験は一般に癌種ごとに実施されるため,コストと時間がかかり過ぎてしまいます.近年,複数の癌種に対して,一つまたは複数の薬剤の有効性と安全性を同時に評価するベイズ流デザインが注目されています.これらのデザインは,希少癌や希少フラクションに対する臨床試験にも応用でき,抗がん剤開発にパラダイムシフトをもたらす可能性があります.近年では,このような癌種横断的臨床試験デザインの研究開発にも取り組んでいます.

先進的試験デザインの実践

ベイズ流臨床試験デザイン等の先進的デザインは,実際の臨床試験に適用して,使用経験を増やしていくことが重要です.これらの実践をとおして,新たな研究課題が見つかり,がん臨床試験の方法論の発展につながります.本研究室では,国立がん研究センターや米国がん研究所等の医学研究者と共に,がん臨床試験に関する様々な研究を実施しています.

レギュラトリーサイエンス

医薬品は,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による審査を経て,製造販売承認されます.承認申請に必要な臨床試験の種類と数は,癌種や治療の位置づけ等を踏まえて決定されるために,その要件を一般化することが困難です.しかしながら,これらの規制要件を整理し潜在的課題を共有することで,PMDAとの議論が深化し,より効率的な臨床開発が可能になると考えます.本研究室では,日本の抗がん剤開発の規制要件と課題を探る研究も実施しています.