東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

教員 Faculty

教授

赤座 英之

Professor

AKAZA, Hideyuki

LAB WEBSITE

東京大学・赤座研究室
http://www.siccn.org/

  • アジア情報社会コース

研究テーマ

  • アジアから世界のがんを変えていく:グローバル化時代のアジア癌情報基盤構築
区分:
特任・非常勤
  • ITASIA program

Research Theme

Position: 
Temporary & Part-time Faculty
略歴

筑波大学名誉教授。元・筑波大学附属病院副院長。1973年東京大学医学部卒業。2010年より2015年3月まで東京大学先端科学技術研究センター特任教授、2015年4月より現職。

主要業績

詳細な業績は <研究室のページ> をご覧ください。


感染症から非感染症へ疾病構造が変容する中、アジアにおけるがんは急増している。がんという病は、遺伝的素因や生活環境、そして生活習慣などが深く関与している疾患である。
我々は、東京大学において2010年よりアジアと欧米の疫学的背景の対比からその根底にあるものを浮かび上がらせ、この対比の中に、世界全体のがん克服の鍵があるのではという観点から、研究を行っている。
疾病構造の変容により、世界の死亡原因は感染症から次第に、癌や生活習慣病といった非感染症へとその比重が推移している。この傾向は、先進国で、顕著であるが、途上国でも同様の変化が、追随している。図1は、癌の罹患率と死亡率の比を、収入の多寡で比較したものである。癌の種類によって高低があるが、すべての癌において、収入の低い国で、罹患率に対する死亡率の比が、高い。
疾病は、一般に、動的である。これは、診断と治療の時期と、その結果(治療成績)には、強い関係があることを意味する。また、疾病は、その発生を予知、あるいは、予防が可能であることがすくなくない。さらに、疾病が、不幸にして診断された時点で根治不可能だったとしても、その進行を遅らせることは可能である。すなわち、”予防―診断―治療―管理 “といった、一連の流れの上で疾病のアウトカム(罹患率、死亡率、治癒率、再発率、生存率)が表現される。
この現象は、癌において特に顕著であり、この動的要素が、図1では、国の経済的レベルとして表現されている。経済的事情に関与する様々な交絡因子が見え隠れするが、医療環境、栄養環境、衛生環境、教育環境、その他、様々な生活環境が、総合的に死亡率・罹患率比を決定していると考えられる。
近年、治療を標準化する努力がなされている。一つの国の中での、治療方法の標準化に留まらず、国際間共通の標準化への努力もなされている。その結果、現在では、多くの疾患において国内外での標準治療マニュアル、即ち、治療ガイドラインが作成され、使用されている。しかし、このガイドラインがあれば、すべての癌患者が、皆一様に標準的治療が受けられるかというと、必ずしもそうでは無い。図2は、如何にして、実際に治療法が決定され、治療が実践されていくのかを図示したものである。ガイドラインは、科学的(医学的)根拠と様々な制約の上に作られる。いかに医学的に有効と判断された治療法でも、それが、その国では使用できない事情があれば、その国のガイドラインには採用できないということである。この制約の影響は重大である。
研究室では、アジアのがん医療における、新規抗悪性腫瘍薬剤開発や安全かつ有効な治療法の開発のための研究基盤構築を目指し、学際的な視点から、アジアの人々のがんに纏わる意識調査のデータベース構想を進めている。また、東京大学大学院全学横断型講義として、様々な領域の第一人者である外部講師を招聘して、オムニバス方式で、がんを医学はもとより、政治・経済・文化など様々な領域から捉えてみることで一定のアウトカムを探る講義を日本語と英語で行っている。

図1

図1

図2

図2