東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 The University of Tokyo III / GSII

イベント Event

March 1, 2017

情報社会基盤卓越講義シリーズ 第5回 のお知らせ

国境を越えて進むデータの寡占化、ソフトウェア化による通信基盤の輸出、特定の国家による価値の保証を持たない仮想通貨など、情報社会基盤技術における地球規模の覇権争いが進む中、東京大学大学院・情報学環では、文理越境の観点から、情報社会基盤技術の最新動向の把握が必要であると考え、2017年2月から「情報社会基盤卓越講義シリーズ」を開講します。

受講対象者は一般とします。

In the light of the progress of planetary-scale technological competition for dominance in information society infrastructure, such as data acquisition and analysis beyond national borders, export of communication infrastructure through network softwarization, virtual currency without guarantee of value by a specific state, etc., we believe that it is essential to carefully study the latest trends in information society infrastructure technologies from interdisciplinary view points and have started “Distinguished Lecture Series on Information Society Infrastructures” in February 2017.

This lecture series is open to public not only students and faculty members at UTokyo.

第5回 情報社会基盤卓越講義 を以下のように開催します。

【講義タイトル】「BMIと倫理―ニューロフィードバック技術の倫理を中心に 」

【講師】 中澤 栄輔 助教 (東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 医療倫理学分野)

【分野】 医療倫理学

【日時】 2017年3月1日 10:00-12:00

【場所】 福武ホール・ラーニングスタジオ
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/facilities-inside/studio.html
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access/index.html

【参加者】聴講は無料です。本講義は一般に公開です。
こちらから登録をお願いします。
https://goo.gl/nU00tp

【講義概要】
ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)技術は長足の進歩を遂げています。一般的にBMIには、入力型と出力型に分けられますが、今回の講義では、複合型としてデコーディッドニューロフィードバックを取り上げ、その倫理的側面について議論したいと思います。デコーディッドニューロフィードバックは新しい技術で、精神疾患の治療など応用の可能性がありますが、研究倫理上のルールを遵守しなければなりません。とりわけ、安全性の確保に留意しなければなりませんし、また、動物を使用した臨床前試験がしづらいので、それを踏まえて人間を対象とした試験を行わざるを得ないところにデコーディッドニューロフィードバックを使用した臨床研究の特徴があります。さらにエンハンスメント利用も考慮に入れると、丁寧な科学コミュニケーションが必要な技術と言えるでしょう。

【講師略歴】
中澤栄輔(なかざわえいすけ)
1975年長野県佐久市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科(科学哲学)修了。東京大学「共生のための国際哲学教育研究センター」特任助教などを経て、2013年より現職。專門は医療倫理学、研究倫理、脳神経倫理、科学哲学。論文にNakazawa, Eisuke, Keiichiro Yamamoto, Koji Tachibana, Soichiro Toda, Yoshiyuki Takimoto, Akira Akabayashi. Ethics of Decoded Neurofeedback in Clinical Research, Treatment, and Moral Enhancement. American Journal of Bioethics Neuroscience 7(2): 110-117.等がある。

【担当教員】 中尾彰宏 nakao@nakao-lab.org